メゾン ミハラヤスヒロ |独特な靴で世界的に評価されるブランド

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Maison MIHARAYASUHIRO (メゾン ミハラヤスヒロ) /デザイナー 三原康裕

多摩美術大学を卒業したデザイナー三原康裕氏が、1997年に自身の名を冠してスタートしたブランド、MIHARAYASUHIRO (ミハラヤスヒロ) 。

元々はシューズブランドとしてスタートし、靴のみを扱っていましたが、今ではレディース、メンズのウェアも展開し、日本を代表するファッションブランドとなっています。

三原康裕氏はdoubletの井野将之氏の師匠としても有名で、その井野氏がまたDAIRIKUの岡本大陸氏の師匠でもあるというように、脈々とこの国のファッションの軸を作られている方であることに相違ありません。

2016awからコレクションライン「Maison MIHARA YASUHIRO」の展開をスタートし、それまでの「MIHARA YASUHIRO」をベーシックなラインとして継続することを発表しました。

ブランドの基本コンセプトは「先入観をなくす」。

予想外のアイデアやそれを形にする高度な技術で、スタンダードなアイテムに全く新しい価値観をもたらします。

2010年前後の頃はまだ比較的スタンダードなところにギミックを効かせたものが多い印象でしたが、「親は子に、そして子は親に影響を与える」と言いますか、doubletのような少々過剰とも取れるぐらいのデザインが世の流れになってきた中で、MIHARAYASUHIROは改めて再構築の方向に舵を切った印象を受けます。

Broken Layer Shirts

上の一着は20AWに登場したBrokenシリーズから、Layer Shirtsですが、分かりやすい再構築感が見て取れるアイテム。

引き裂き・破りのダメージ加工を入れながら、その下に補色となる別のシャツをレイヤーさせることでグラデーションなども生みながら、全く新しいものになっています。

また本来内側に配されて人目につかないはずのタグを外付けでデザインと変えているのも、ミハラらしい捻りの効いたディテールの一つです。

18SS

タグ使いはその生産背景付きで非常に面白く、2018SSでは何かにつけて#(ハッシュタグ)を利用する、度の過ぎたSNSアディクトの現代人へのアンチテーゼを込めて、大事な情報は一つでいいと言わんばかりにMIHARAYASUHIROの公式HPへと繋がるQRコードの入ったタグを付けたり、

2019SSでは本来服の受取と同時に外すはずのクリーニングのタグがデザインにされており、トップスやボトムスに「架空のクリーニング店のタグ(控え)」が入りました。

19SS combined T-shirt

ブランドを代表するアイテムは後にも紹介する靴なのですが、遊び心溢れる服も勿論非常にカッコいいので、値段はそれなりにしてきますが、是非調べてみてもらえればと思います。

miharayasuhiro ミハラヤスヒロ ルック

ミハラヤスヒロの靴

ミハラヤスヒロ 靴

そんなミハラヤスヒロを代表するアイテムといえばブランドの起源でもある靴(シューズ)です。

彼が靴作りと出会ったのは94年。多摩美術大学在学中、なめし工場で革に関する知識を習得し、職人から靴を作るときに使用する木型作りを学び、独学で靴作りを始めます。

そして1996年、靴メーカーのバックアップを元に、現ミハラヤスヒロの前身となるシューズブランド「archi doom(アーキドゥーム)」をスタート。

その後1997年、多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部卒業後、ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)などと、多彩なコラボレーション作品を制作し、更に靴の制作に携わる為、シューズメーカー「EVOL」の設立に参加。

そうしてブランド名が「archi doom」から「MIHARAYASUHIRO」に変更された訳ですが、このようにミハラヤスヒロにとって「靴」とはブランドの根幹となるアイテムであります。

参照:https://www.gsc-rinkan.com/column/mihara-yasuhiro/mihara-yasuhiro-history/

炙り出し製法

MIHARAYASUHIRO 靴

今では世界で評価されるミハラヤスヒロの靴ですが、その代表的なディテールがこの「炙り出し」です。

例えばこのローファーをよく見てもらうとホースピットの部分が革から浮き出ていることが分かるかと思います。

MIHARAYASUHIRO 炙り出し

「炙り出し」とは、このように本来は外側に施されているパーツ類を革の内側に綴じ込め、その後炙り出す技法です。

まるで浮き出ているように見えるデザインは非常に斬新でウィットがきいています。

またレザーアイテムらしく、長い間使い込むことで出てくる味感も魅力的です。

グラデーション

MIHARAYASUHIRO 靴

 

MIHARAYASUHIRO グラデーション

炙り出し以外にもグラデーションで柄などが現れてくるようなデザインも目を引きます。

ベースは非常にベーシックな型ですが、予想もつかない鮮やかな柄がアクセントとなり、遊び心のある芸術的な靴になっています。

ハイブリッド (PUMA by MIHARAYASUHIRO)

PUMA by MIHARAYASUHIRO 靴

靴づくりの独特なセンスを買われて2000年、PUMAとのコラボした「PUMA by MIHARAYASUHIRO」というラインが生まれました。

ここではプーマのスポーツテイストな型を利用して、ミハラヤスヒロらしい独特の解釈を加えた、ハイブリッドなアイテムが展開され、時に靴の半分でバッサリテイストを変えてしまうような、多くの人が靴に抱いている既存の価値観を壊すデザインが生み出されました。

PUMAはご存知、世界的に有名なブランドであったため、このコラボレーションは、「ミハラヤスヒロ」とブランドが世界に知られ、ひいては2005年のミラノコレクション参加にも繋がるきっかけとなりました。

GIANT TREKKING BOOTS (ジャイアントトレッキングブーツ)

MIHARAYASUHIRO トレッキングブーツ

こちらはコラボアイテムではありませんが、ミハラの数ある靴の中でも名作の呼び名が高いトレッキングブーツです。

温かみのあるクラフトマンシップが感じられるこちらは、実はインヒールとなっており、履くことで一気に身長が伸びる魔法の靴でもあります。

インヒールトレッキングブーツ

重そうなルックからは予想もつかない軽さと履き心地も相まって非常に人気の高いアイテムでした。

ミハラヤスヒロの第二期“オリジナルソールスニーカー”

上記のような靴作りで名を馳せていたミハラヤスヒロですが2016年頃、世間は圧倒的なスニーカーブームとなり、BALENCIAGAのTriple Sなどを筆頭にダッドスニーカーのようなジャンルも生まれ、当時のミハラヤスヒロの武器であった「一捻り効いた革靴」が強力すぎるトレンドに埋もれ始め、勢いを失いかけていた時期もありました。

そんなミハラヤスヒロが息を吹き返すきっかけとなり、再度世界的に「やはりミハラヤスヒロだ」と評価されるきっかけとなったのが、こちらの「オリジナルソールスニーカー」です。

Duck Taylor (ダックテイラー)

登場したのは2018年春夏、名前の通り、三原康弘氏が自身で粘土を使い手仕事で型どったオリジナルソールを使ったスニーカーで、今ではそのソールの上に様々なアッパーの種類が生まれているのですが、

その初代であり現在も定番のオリジナルソールスニーカーがこちらのDuck Taylor(ダック テイラー)です。

名前からなんとなくピンと来ている方もいらっしゃるかと思いますが、おそらくその予想の通りで、Converseの「Chuck Taylor(チャックテイラー)」をベースにディテールを踏襲し、オリジナルソールを配し、そのソールの存在感に揃えるように、太めのシューレースに「ダック」の名の通りアヒルのような可愛らしいボリューム感となっていて、今のストリートの匂いが存分に反映された一足となっています。

元ネタとなるコンバースのチャックテイラーの使いやすさは皆さんご存知、シンプルでどんな着こなし・ボトムスにもハマるのでミュージシャンから大学生まで様々な方々から愛用されている永遠の定番かとは思うのですが、ダックテイラーはその汎用性の高さ、スタイリングしやすさはそのままに存在感をより一層今風にアップデートしてくれたアイテムになりますので、とてもオススメですしカッコいいです。

価格は素材感やものによって細かく変わってきますが、大体ローカットで¥30,000+tax、ハイカットで¥34,000+taxぐらいになります。

参照:https://www.gossip-net.com/blog/detail/1732

ミハラヤスヒロの別ライン

MYne (マイン)

MYne_16aw ルック

そんなミハラヤスヒロにはメインとなるメゾンミハラヤスヒロ以外にもいくつか別のラインが存在します。

まずはその内の2016ssシーズンからスタートし、ストリートの若者にフォーカスを当てたライン、「MYne (マイン)」です。

立ち上げとなったシーズンテーマが「NEO YANKEE」、続くコレクションも「THE YOUTH」「SWEET CHILDREN」「VATO」など、若い世代をテーマにし、「モード・ストリート・スポーツ」のテイストを軸にエッジの効いたデザインを落とし込んだアイテムを提案するラインになります。

若者を捉えたラインではありながらも作りが細かく、価格帯はTシャツのような軽めのトップスが¥10,000前後、フーディーなどで¥25,000前後、パンツは¥30,000〜など、簡単に手が出る価格帯ではありません。

ただメインのラインとはまた違ったイメージでミックスにも使いやすい塩梅のブランドになりますので、是非チェックしてもらえればと思います。

FIT MIHARA YASUHIRO (フィット ミハラヤスヒロ)

2017AW

続けてこちらは2017/18AW コレクションよりスタートしたライン、FIT MIHARA YASUHIRO。

ブランドコンセプトは「Lightly Elegance」で、デザインを削ぎ落とした先に見出す〝着る人の魅力”を引き出す服作りが特徴的です。

ディテールの遊び心にこだわるMIHARA YASUHIROのアイデンティティも表現しつつ、洗練された上品なスタイルを提案するラインになります。

2018AW

あえて明確なシーズンコンセプトは定めず、多様な要素がバランス良く落とし込まれたコレクションを展開しており、刺繍や特徴的なプリント柄など、モダンかつひと癖あるデザインや、見た目のモダンさに反した触り心地も追求しています。

メゾンを筆頭に再構築的な要素を多分に織り込んだラインとは違い、かなりシンプルで綺麗なデザインが多いので、ひょっとするとこのラインが一番刺さるという方もいらっしゃるかと思います。

Nehanne MIHARA YASUHIRO(ネハン ミハラ ヤスヒロ)

18SS

こちらのネハンは、日本の歴史や日本の伝統を学んで再認識することが大切だという想いから2017SSに立ち上がったラインで、若手のクリエーターを中心に手掛けられたものを、三原康弘氏がディレクションしています。

ブランド名のネハンは、煩悩がなくなった状態の「涅槃」という仏教用語が由来で、日本人である自分たち自身が、古き良き日本の良さを発信したいという想いが、素材やデザインなどにちりばめられています。

参照:RINKAN

Modified(モディファイド)

上に挙げてきた以外にも、動物の革を一切使用しないノーレザーがコンセプトのウィメンズシューズ「マイン セルフ(MYNE SELF)」や、

ミリタリーやヴィンテージ古着好きの三原氏が1940年代からのヴィンテージアイテムなどを各国からセレクトし、三原氏の率いるアトリエチームが解体、再構築して展開するModified(モディファイド)など、

現在は活動が行われていないものもありますが、非常に多岐に渡ります。

2018AW

こうして紹介してきましたミハラヤスヒロ、予想を裏切る独特のセンスは靴もウェアーも健在です。

是非調べてみてください。

詳しいコレクションはこちら

http://www.fashion-press.net/collections/brand/84

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