scye(サイ) /デザイナー 日高久代、宮原秀晃
2000年、日高久代氏と宮原秀晃氏が設立したブランドscye(サイ)。
仕立ての良さ、「scye」というクールなブランド名など、ブリティッシュなイメージがありますが、実は日本のブランドです。
デザイナーの日高氏とパタンナーの宮原氏のタッグによって生み出されるこの服は、本場イギリスのテーラリングを押さえてデザインされています。
展開されるアイテムの型はカジュアルなベーシックな物が多いですが、無駄がなく、無機質で上品な雰囲気を漂わせます。
またブランド名の「Scye」はテイラー用語で「袖ぐり」や「鎌(かま)」という意味を持ちます。
服作りへの拘りが滲み、なおかつ覚えやすく響きも良い。
文字配列もどこか魅力的で、そんなところからついた名前だそうです。
始まりは2000年ということで、もう始動から約15年以上経つ訳ですが、ファッションショーや広告などによる売り込みを一切行っていません。
そこに注ぎ込むべき費用が全て服へ注がれていると考えると、どれほど高い質で服作りがされているか直感的に認識できる気もします。
ホワイトも一度コレクションへの出展を止めてその予算を服のデザインに回したことがありますが、このサイも同じように、根っからの職人気質ブランドであるようです。
名作「ダッフルコート」
Pコートやシャツと言ったアイテムも名作としてよく挙げられますが、個人的に一番名作と思うのはこちらのダッフルコートです。
ダッフルコートと言うと、一般的にかなり可愛らしい物が多いと思うのですが、サイの物は極めてミニマムな一着になっています。
この長すぎず短すぎない丈感、羽織った時にもたつかないウエストのシェイプ具合、あらゆる無駄が捨象されています。
そして上質で暖かみのあるカシミアウールと対照的に、少しソリッドな三つのボタン。
これを見たらもうすぐにサイのダッフルだと分かります。
かなりディープな層にしか伝わらないこういうシグナリングはたまらなく魅力的です。
勿論知らない人が見ても何かしらのセンスを感じさせる一着でしょう。
Made in Japanの拘り
余談ですが定番アイテムとして展開されているポロシャツのロゴ「サイ」はしっかりブランド名をもじった洒落だそうです。
そしてこのポロシャツも先ほどのダッフルも、日本で製造されています。
一部のニットを除くほとんどのアイテムが、縫製過程まで含めた日本製で、日本の素晴らしさを発信してくれているブランドでもあります。
数々のマスターピースを生んできた日本のブランドscye。
是非一度実物を手に取ってもらいたいです。
公式サイトはこちら