DAIRIKU (ダイリク)/デザイナー 岡本大陸
デザイナーの岡本大陸氏が自身の名を冠したブランド、DAIRIKU(ダイリク)。
バンタンデザイン研究所で鬼才として名を轟かせていた大陸氏が在学中に始動させ、2016年10 月には Asia fashion collectionでグランプリを獲得。
その後2017年2月にNYファッションウィークにて、ランウェイ形式でコレクションを発表し、2018SSから展示会形式で本格始動が始まった新進気鋭のブランドです。
ブランドコンセプトは「ルーツやストーリーが感じられる服」。
取り立ててその服が持つ歴史、形(パターン)、製法といったあらゆる部分に対するリサーチと生産面の徹底は欠かさず、アメカジへのリスペクトを彷彿とさせるスタンダードな服がベースをしながら、そこにディテールとパターンメイキングで現代的な解釈が加えられていきます。
守るべき部分は守りながら、現在の解釈で変化を加えていくのですが、特に今っぽくてちょうどいい“ゆるさ”は全体的に意識しており、今っぽさは「自分自身が“着たい”と思えることと、周りにいる服が大好きな友人たちが今好きなシルエット感が影響している」と言います。
また父親の影響で自身も映画好きという大陸氏は、シーズン毎にまず「モチーフにする映画」があると言います。
例えば2019AW “American Dream”のシーズンだと、ラッパーのノトーリアス・B.I.G.の生涯を描いた映画『NOTORIOUS B.I.G』がコレクションの出発点。
80~90年代のアメリカ東海岸のヒップホップカルチャーがテーマになったその作品から得たインスピレーションが反映される同シーズンは、
ニットセーターやファージャケット、スカーフ柄シャツにベースボールシャツなど、当時のラッパーを彷彿とさせるアイテムで構成されます。
ただソースを一昔前の作品に置きながらも、ウィットとユーモアに富んだ一捻りで、完全に今風の昇華されたアイテムばかりが揃うのがDAIRIKUです。
こちらは“良い子” のイメージが強いダッフルコートのトグルを全て排除し、スナップボタン仕様に “崩す” ことで、少年の二面性をアイテムのディティールに表現されていると言います。
1980年代のアメリカ、ブロンクス。
厳しい母親に育てられた一人の少年。
屋根裏部屋で真っ白なエアフォースに履き替え、母親の目を盗んではワルい仲間のもとへ向かっていく。
刺激的な毎日を過ごしていた”まじめな少年”は音楽と出会い、
やがて大きな夢を掲げる。レコードが擦り切れるほど聞いたあのアーティストのように
彼は “American Dream” を掴み取れるのだろうか。引用:https://www.houyhnhnm.jp/news/263637/
上記はこのシーズン “American Dream”のために綴られた架空のストーリーです。
ルックのニットは最近時々見にするインサイドアウトのデザインですが、「いいとこの子が反抗期で裏返しして着る」イメージでデザインされたそうな。
(自分も含め..)これまでインサイドアウトのデザインに魅力を感じなかったという方も多い気もするのですが、こうしてストーリーとの裏付けをしてもらえると、一気に色づいて見えるのではないかと思います。
実はルックもくたびれたマンションでルーズな服装をしている成り上がり前と、高級ホテルでスーツを着ていたりする成り上がり後とでストーリーが感じられる仕様になっているようです。
2018AWコレクション「HOME KIDS」は「たまたま観た映画の影響でずっと兄弟がほしかったことや、小学生の頃に友達の家に4〜5人で集まってゲームをしているときの思い出」を着想源に、「アメリカ生まれで“良いところの家”に生まれたギークで残念な感じのイケてない子」をイメージしたシーズン。
ここでもDAIRIKUの服力を見せつける名作が登場しました。
それがおそらくどなたにもパロディー先が分かりそうなこちらのスウェット(パーカー)です。
「パソコンばかりやっていて、良いとこの子だからRalph LaurenやTommy Hilfigerとか着ているイメージがあるが、アメリカの国旗と昔のWindowsのロゴを混ぜることでこうした男性像を想起してもらえると同時に、90年代の雰囲気や、何かしらの映画や音楽を連想させる空気をはらませることができたのではないか」と言います。
後に紹介させていただくアイテムも勿論ありますが、このアイテムをきっかけにDAIRIKUを取り扱いたいと名乗りを挙げたショップもあるのではないかと思います。
参照:
https://www.houyhnhnm.jp/news/263637/
https://i-d.vice.com/jp/article/vbjgzy/his-experience-and-state-of-mind-dairiku-interview
https://comepass.jp/article/post-58165/
https://comepass.jp/article/post-58166/
DAIRIKUの定番アイテム
レイヤードTシャツ
そんなDAIRIKUを一気に世間に知らしめる存在となったのが、このレイヤードTシャツです。
毎シーズン素材をマイナーチェンジしながらリリースされるこちらのアイテムですが、俳優の菅田将暉さんの着用で問い合わせが集中し、その後はリリースの度に即完売となるアイテムになりました。
自分はルックで見た時から気にはなっていたのですが、実際に実物を手に取った時に、虹色のグラデーションがキャッチーなロゴ部分が、丁寧に刺繍で施されていた作りの細かさが刺さり、結果即購入でした。
サイズはフリーなのですが、着てみた時の落ち感やリラックス具合も非常に良く、とてもオススメの一着です。
カバーオール
こちらもブランド初期から定番のアイテム、カバーオールです。
3本ステッチやカンヌキ、チンストなど、古着の細やかな作りをリスペクトして踏襲しながら、非常に丁寧に作り込まれています。
どうしても元々が硬いデニム生地は、下手に縫うと動き辛くなるようなのですが、岡山にあるデニム工場で、1人の腕利き職人さんにお願いし、鋭角の襟や袖口など難しい部分も完璧に縫っていただいているからこそできるアイテムなのだそうです。
またホールがあるのにボタンがない第三ボタンは古いカバーオールのディテールによくある、懐中時計のチェーンを留めておくものになっています。
ほとんど必要はないのですが、これが会話や古着を調べたりするきっかけになれば、という思いから生かされているディテールらしく、ルックではそのディテールを生かしたスタイリングがされていたりします。
服をより好きになれるフックを作ってくれているのも嬉しいポイントです。
フィッシャーマンシャツ
胸元のオリジナルピスネームタグが目を引く、フィッシャーマンシャツです。
ドルマンスリーブ・ドロップショルダーラインで切替されており、非対称のポケット、絶妙なオーバーサイズと独特な落ち感が魅力的な一着です。
こちらもサイズはフリーなのですが、一度着ていただけると分かるとても良いアイテムで、こちらも例に漏れず色によっては即完売しますので、早めのチェックをオススメします。
Flasher Pressed Pants(フラッシャー プレス パンツ)
最後はこちらのFlasher Pressed Pants(フラッシャー プレス パンツ)です。
ジーンズのヒップポケットに付けられる紙ラベル「フラッシャー」。
ブランド名やブランドのキャラクターなどが記されることが多く、店頭でジーンズを畳んで置いたときなどのアイキャッチとなりますが、本来は購入後捨ててしまうもの。
それを貼り付けてしまってデザインの一部と変えてしまうDAIRIKUの人気ディテールです。
ディテールと言ったのは、スタプレ素材のパンツやデニムなど、いろいろな型で展開されるからです。
しっかりワッペンとして完成した青色の鮮やかなフラッシャーなので、とても綺麗なワンポイントになっており、29なのか31なのかインチが表記されているのも設定が細かくて素敵な一着です。
価格帯
レイヤードTシャツ:¥20,000
カバーオール:¥50,000
フィッシャーマンシャツ:¥30,000
フラッシャー プレス パンツ:¥35,000
このサイトで紹介させていただいているブランドは、ドンズバで刺さるキラーアイテムを少なからず持ち合わせていることが多いのですが、DAIRIKUは既にもうこれだけ唯一無二のアイテムを作り出してきており、群雄割拠の時代でも頭一つ抜けたブランドです。
実は大陸氏はdoubletでインターンを経験してきており、このキャッチーかつ圧倒的な差別化の図り方など、確実にdoubletの系譜を受け継いでいる雰囲気を感じます。
あのテイストが好きで、なおかつよりストリートなスタイリングに落とし込みたいという方にはかなり刺さるブランドではないかと思います。
取り扱い店舗は徐々に増えてきておりますが、1アイテム毎の生産数は決して多くありませんので、情報をしっかりチェックしつつ、入荷日に狙いを定めて買いに行かれることをオススメします。
また是非チェックしてみてください。
詳しいコレクションはこちら
https://www.fashion-press.net/brands/4871
公式インスタグラムはこちら
https://www.instagram.com/dairiku/