ENGINEERED GARMENTS (エンジニアドガーメンツ) /デザイナー 鈴木大器
1999年、ネペンテスNYの代表鈴木大器氏がニューヨークで設立したウェアブランド、ENGINEERED GARMENTS (エンジニアド ガーメンツ)。
ブランド名は「巧みに設計された洋服」という意で、ガーメンツの愛称で幅広いユーザーに親しまれています。
90年代半ば、インターネットの普及により、輸入バイヤーの需要が薄くなり始め、危機に瀕していたネペンテス (セレクトショップ)の生き残りをかけて設立されました。
ちなみに同じ志を持って、ネペンテスから日本で立ち上げられたのがNeedles(ニードルス)になります。
ガーメンツのデザイン
ニューヨークで企画、生産までを行うガーメンツが大事にするのは「優れたクラフトマンシップ、大規模なマスプロダクション」という相反する二つの要素を基本とするアメリカ洋服文化。
縫製や生地のクオリティの高さだけを洋服の価値とはせず、大量生産ゆえの平面的なパターン、ユニフォームに由来する合理的なディティール、美しさよりも実用面を考慮したシルエット、経年変化によるヨレや縮みなど、そこには独特の魅力があります。
そんなアメリカものに惹かれる、ちょっとへそ曲がりな大人のための日常着を提案するのがこのブランドです。
30年代から70年代の象徴的だったクラシックテーラリングやスポーツウェア、ワークウェア、ミリタリーユニフォーム等、今はもう消えてしまった古き良き時代の優れたアメリカ製品のデザインを解体、再構築し、新たなプロダクトを作り出す。
イタリアや日本などの縫製のクオリティの高さとは全く違う、アメリカ製ならではの個性を大切にし、「本当にアメリカらしい製品、完成された未完成品を作ること」をテーマにウェアが作られています。
参照:https://eq.loftman.co.jp/
Mサイズ
余談ですが、ガーメンツでは制作時の鈴木の体型を「Mサイズ」としてコレクションを制作する為、サイズ感がシーズン毎に変化します。
なので実際に袖を通すことができない時はしっかり寸法を確認されることをオススメします。
また似たようなところで、ルックブックに登場するモデルも自分が着ているイメージに合うように本人の年齢に近い人物を選んでいるそうです。
定番アイテム
BEDFORD JACKET
ここからはそんなガーメンツの定番アイテムを紹介していきます。
まずはこちらのBEDFORD JACKET (ベッドフォードジャケット)。
ツイルやコーデュロイなど、毎シーズン多彩なファブリックでリリースされ、計算されたパターンとシルエット、選びぬかれた素材と着心地で絶大な人気を誇るアイテムです。
コンパクトすぎないすっきりとした全体のシルエットに、機能性あふれる4つのポケット、細かく施されたステッチワークが特徴的です。
クラシックなワーク・ミリタリーウエアを連想させるチェンジボタンを採用する事で耐久性と装飾美が増し、ドレスジャケットとは一味違う印象をもつ仕上がりにもなっています。
襟もとやショルダー部などの補強も、着込み洗い込む事による経年変化を見越したガーメンツならではディテール。
あえて裏地をつけない洗いざらしの表情は、ガーメンツ独自の立体感あるパターンから生まれ、ワークアイテムながら更にスタイリッシュな印象になっています。
値段は素材にもよりますが¥50000~70000前後です。
毎シーズン変化が加えられながらリリースされるアイテムではありますが、どのシーズンの物もずっと長く愛用できる汎用性がありますので非常にオススメです。
参照:http://sunrise-market.blogspot.jp/2015/03/engineered-garments-bedford-jacket.html
19th BD Shirt
ワークシャツも人気ですが、ガーメンツのシャツとして定評があるのはこちら、19th BD Shirtです。
ブランド設立当時、ネペンテスの商材の中でシャツとパンツが弱かったこともあり、ガーメンツが立ち上げから制作に取り組んできたシャツの内、一番最初に作られたアイテムです。
デザイナーがサンフランシスコにいた当時、ニュージャージーにあったオーダーメイドのシャツを作る良い工場が「仕事がなくて潰れそう」という状況であり、そこを助けるべく依頼しました。
そして「何か古いシャツがあったらそれを今の時代に合わせて作り直して作ってみたい」というデザイナーの要望に対して、工場の人が「19世紀に作られたシャツがあるよ、見に来れば?」と応答したのがこのシャツの生まれるキッカケだったそうです。
出てきたのはとても面白く、しかしそのままでは非常に着づらいバンドカラーのシャツでした。
それを馴染みの深いBDに置き換え、フィッテイングなどを時代に適応する形でアレンジしてできたのがこちらのシャツです。
カスタムシャツ屋が得意とするドレスシャツの要素を詰め込み、それをとんでもなくカジュアルな生地や柄に落とし込んで、洗う。
こんな贅沢な台無し感がある一着です。
より詳しい内容は、是非以下の記事でチェックしてください。
http://www.nepenthes.co.jp/feature/32/f32.html
Vest
こちらは非常に型が多いので、まとめての紹介になりますが、ガーメンツではルックなどでもキーアイテムとしてベストがよく提案されます。
秋冬はウール地やダウンを入れたものなど、春夏は薄手のコットンなど様々ですが、ドレス感の強いジレなどとは実用性の面で一線を画します。
そのため、大義名分のもとにレイヤードできる、機能を持ったベストになっています。
狙って配置されたポケットなどで機能性を高め、落ち着いたカラーで仕上げられた無機質な一着だけでなく、上のレオパード柄のようなかなりセンセーショナルな一着もあります。
機能的に、時に視覚的にもスタイリングを彩ってくれるワークベスト。
ブランドのキーアイテムであることは間違いありませんので、是非またチェックしてみてください。
Fatigue Pant
ボトムスからはこちら、Fatigue Pant(ファティーグパンツ。
軍の作業用パンツをベースに随所にアレンジを効かせた、ガーメンツの定番です。
上のルックで使用されているのは白ですが、やはりオリーブやカーキといった色が定番にはなっています。
前後に施された大きめのパッチポケット。ウエストを調整できるアジャスターベルト。ボタンフライフロント。
シンプルで簡素なディティールに、経年変化を楽しめるバックサテン。
どんなトップスとも相性の良い懐の深さと、使い込むことで風合いが増すのが魅力的です。
デザイナーの鈴木氏も愛用されているアイテムだそうです。
あまり取り扱いを気にせず、好きに履けて味が出てくるパンツということで、非常に使い勝手が良いのではないかと思います。
こうして紹介してきましたブランド、エンジニアドガーメンツ。
是非また実物を探してみてください。
詳しいコレクションはこちら
http://www.fashion-press.net/collections/brand/668