AVALONE (アヴァロン)/デザイナー 三浦進
2013年に三浦進氏がスタートしたブランド、AVALONE (アヴァロン)。
設立からまだ5年と経っていませんが、Name.などと共に2016年度のTOKYO FASHION AWARD*を受賞し、既に世界を見据えた活躍を有望視されているブランドです。
TOKYO FASHION AWARDとは
本アワードは、世界をフィールドに活躍するポテンシャルの高い東京の旬なファッションブランドを選定表彰し、海外での展開をサポートする新しい形のファッションアワードです。
世界で活躍するファッションデザイナーを東京から輩出することを目的に、国際的な活躍が期待されるブランドに対し、ビジネス面における支援を継続的におこないます。受賞6デザイナーへの支援として、2015年1月のパリファッション・ウィーク中に、本事業単独のショールーム「showroom.tokyo」を開設し、世界の有力なバイヤーとのビジネスマッチングの機会を設けることで、国内外でのビジネス拡大を目指します。引用:http://tokyo-fashion-award.jp
またブランド名の「AVALONE」は、静岡出身であるデザイナーの実家の仕事と関係があるアワビ(Abalone)から取られました。
高級品でありながら少しグロテスクな見た目のアワビは、目指すブランドの世界観ともマッチしたと言います。
さらにブランド名よりむしろメジャーなスペリング「Avalon」との言葉遊びも効いているそうです。
あとアヴァロンって言うと神話に出て来る島を思い浮かべる人が多いかと思うんですけど、「アバロン島(Avalon)」っていう英雄達が祀られた島は、戦いに敗れ滅ぼされた側の逆の視点で見たらやっぱり忌むべき存在な訳で、その辺からサタニズム/悪魔崇拝のような物に繋がってたりって事でそれもかけて「AVALONE」って名前にしたんですよね。
引用:http://dood-magazine.com/fashion/4936
デザイナー 三浦進
ちなみにデザイナーの三浦氏は、デスメタルバンドのボーカル、彫師(タトゥーなど刺青を彫る人)という異色の経歴を経て、独学で服作りを始めました。
独学で服作りと聞くと、聞こえはあまり良くないかもしれませんが、既に中学3年の頃から古着を買ってきてはリメイクするという作業を繰り返していたそうです。
もちろん裏原で流行りの店やアイテムを見てはいましたが、皆が有難がって着ているのと同じ物を身に付けるのが解せなかったこともあってリメイクを始めたんだとか。
参照:http://dood-magazine.com/fashion/493
ブランドの世界観
そんなアヴァロンは、服作りもそうですが、独特の世界観で世界から評価されています。
2016awのインスタレーションでは、オーケストラを起用したクラシック音楽の演奏をバックにショーを行い話題を集めました。
もう削除されましたが2015awのビデオルックのトレイラーはモデルの男女が無修正で交わっているという目を疑うような過激さでした。
キーピースをクローズアップする一方で、デザイナー自身の性を通すことでしか感じる事のできない嫉妬心が、“視覚から脳へ嫉妬”をキーワードにエロティシズムに表現されていると言います。
このような少し危うさすら感じさせるこの表現の幅の利かせ方にも、「周りに流されてはいけない」というデザイナーの姿勢が滲み出ています。
アヴァロンのデザイン
そんなアヴァロンですが、フューチャリズム、ストリートスポーツウェアをテーマにしたストリートモードスタイルが特徴的です。
ブランド名の由来にふさわしく、俗なイメージが強いストリートなアイテムも、拘りのパターニングでラグジュアリーな印象が与えられます。
そうして提案される少し高貴なストリートスポーツウェアをベースの金型として、そこにデザイナーのバックグラウンドに当たる要素が詰め込まれます。
具体的には、Satanic、Death、Goth、Skate、Drugs、Tattoo、Erotismなどのサブカルチャー。
こうして肉付けされたウェアがアヴァロンのアイテムになります。
また、クラシックテーラードの職人から学んだというデザイナー自身の技術もさることながら、「仕事の場が失われつつある熟練の職人たちとWIN-WINの関係を築きたい」という姿勢で、互いに協力的にアイテム作りに臨んでいるのもここの強みです。
そういった部分で、パンチング、レーザー加工など、日本の優れた技術が随所に使用されています。
こうして紹介してきましたブランド、アヴァロン。
「ブランドを大きくするという気持ちはない」と言いますが、この純粋な物作りは少しずつコアなファンに拡散していくことでしょう。
是非また実物を探してみてください。
公式サイトはこちら