ts(s) (ティーエスエス)/デザイナー 鈴木卓爾
桑沢デザイン研究所ドレスデザイン科卒業後、ファッション雑誌を中心としたスタイリスト、エディター、クリエイティブディレクターとして活動していた鈴木卓爾氏。
彼が自身の名前をアルファベットで表し1999年にスタートしたブランド「TS」が、2009年、コンセプトを再構築し、改名と共に再出発したのがこちらの「ts(s)」というブランドです。
ブランドコンセプトは以下。
現代的解釈による独自のトラディショナルスタイルをベースに、ワーク、ミリタリー、スポーツなどのスタイルを取り入れながらラインナップを構成。
基本と進化( Basic and Evolution )
標準と流行( Standard and Mode )
解放と緊張( Casual and Formal )
これらそれぞれ相反するように思える要素の間で、強い拘りを持つ色、柄、素材使いを中心とした独特なブレンド、スイッチを行う事によって、「ありそうで無い物作り」「行き過ぎない意外性」という自分なりのバランス、スタンスを目指す。引用:http://www.notsohardwork.com/tss.html
そんなts(s)ですが、シーズンはエンドレスでつながっているという考えから、コレクション毎に何か特別なテーマを定めるということはしません。
しかしその代わりという訳でもありませんが、デザイナーは、コピーの裏紙などをネタ帳代わりにいつも持ち歩き、なにか思いついた時はすぐアイデアを書き留めておけるようにしていると言います。
生地を探している時やパターンを決めている時だけでなく、意外なタイミングから生まれてくるアイデアさえも大事にし、それを自身のフィルターを通すことで、時々の気分に合わせた服として提案します。
スタイリスト時代から色、柄、素材感といった要素に愛着を持っていたというだけあり、特別な意識こそないと言いますが、そういった部分からさりげなく効いてくる雰囲気が海外でも高く評価されています。
誰でも容易に違いを視認できるブランドとは違い、ベーシックな所にアイデアや工夫を凝らした、「ありそうでない」ギリギリの部分を狙っているため、刺さる人には相当ツボなブランドなのではないか?と思います。
またこちらのブランドは、古くからの友人でもあるスタイリストの祐真朋樹氏にファッションディレクションという名目でルック制作に参加してもらっています。
この折り返したブーツなんかはスタイリングの際に祐真氏の思いつきで生まれたんだとか。
年齢もキャリアをスタートした時期もほぼ同じで、一緒に仕事しやすいというお二人から生まれるビジュアルはかなりカッコイイです。
ただそのトータルとしての見せ方も提案していますが、アイテムが単体として成立しているかどうかにスポットを当ててデザインがされていると言います。
ちなみに鈴木という苗字で勘付かれた方がいらっしゃれば相当ファッション通かとも思いますが、実は兄(鈴木大器)もエンジニアドガーメンツのデザイナーとして活躍されています。
その繋がりでアメリカらしい服への造詣を問われることも多いと言いますが、そこに特にこだわりはなく、ご自身はむしろヨーロッパテイストのディテールを加えるのが好きだそうです。
それでも完全なる焼き回しは絶対にしないというポリシーがあって、一括りにジャンル分けできないデザインを大事にしていると言います。
参照:http://www.eyescream.jp/special-all/feature/2011aw-tss
ts(s)の定番アイテム
ロングシャツ
ここからはそんなブランドの定番アイテムを紹介していきます。
まずはこちらのロングシャツ。
ブランド設立当初から続けて提案されているアイテムで、秋冬のインナーとしてレイヤードにも活躍しますが、両サイドに設けられたポケットがアウターライクな着方も可能にしてくれます。
何よりこの独特の雰囲気が素敵な一着です。
素材感はシーズン毎に異なりますが、かなり流行っているcomoliなどとは敢えてずらしたいという方には持ってこいのロングシャツかと思います。
ボアベスト
こちらも定番のボアベストです。
見た目からも滲み出る、柔らかで優しい雰囲気と温かさが魅力的な一着です。
実際に保温性も高く、真冬の防寒アイテムとして十分に機能してくれるのですが、それ以上にソリッドになりがちな冬場のコーデを中和してくれる良さがあります。
ライナーベスト
同じくボア素材ではありませんが、こちらのキルティングベストも人気です。
少し無機質な印象もあり、個人的にはボアベストの方が可愛げがあって好みではありますが、どこかトラッドなテイストも感じさせるアイテムです。
ルックなどでも時折アクセントとして顔を覗かせますが、シンプルにシャツと合わせても様になると思います。
ダウンコート
アウターからはこちらのダウンコートです。
身頃部分のダウンが高い保温性を実現してくれる冬にありがたいアイテムですが、ダウンらしからぬボリューム感でかなりすっきり着られます。
もちろん着用時に、ダウンが入っていることに伴う独特のシワの入り方などがありますが、異素材ミックス感が好きという方にはオススメの一着です。
ダッフルコート
アウターではこちらのダッフルコートも。
ダッフルと言いますと多くの人から愛されるシンプルなアウターですが、こちらは斜めに入ったトグルが特徴的です。
普通とは違うちょっとした違いを見せてくれるts(s)らしいアイテムです。
こうして紹介してきましたブランド、ts(s)。
デザイナー自身、「このts(s)というブランドを気に入ってくれている人たちは、もしすごく売れてきたら着なくなってしまうだろう」というぐらいです。
たくさん売れる服とは完全に異なる、決して分かりやすくはない服。
少し斜に構えた人にはツボにはまる部分があるかもしれません。
また実物を探してみてください。
公式サイトはこちら
http://www.notsohardwork.com/tss.html