A.P.C.(アーペーセー)
1987年、ジャン・トゥイトゥが設立したフランスのブランド、A.P.C.(アーペーセー)。
シンプルでクリーンなデニムが非常に高い評価を受けており、多くのスタイリストに支持され、誌面で見る機会も多いのではないかと思います。
ブランド名は「生産と創造の工房(Atelier de Production et de Creation)」の略で、デザイン、プライス、外見の観点から、誰もが手に取りやすい真のフランスブランドです。
これには「個性的ではなくベーシックな作りだからこそ、それが着る人によって個性が最大限に引き出される」という意図がこめられているのだと言います。
また上記にも通ずる部分ですが、あえて非エリート主義を貫くことで、階級を超えたメンズ、レディスの洋服と雑貨のコレクションを揃えており、ハイブランドともファストブランドとも全く喧嘩せず無理なく馴染んでくれます。
引き算の上手いミニマルなデザインのため、凝ったデザインが好きな方には物足りないかもしれませんが、とにかくシンプルで無駄がありません。
アメカジとは対照的に完全なるフレンチカジュアルで、非常に育ちが良さそうな優等生なスタイリングが完成します。
目立った特徴がないことがむしろ最大の特徴と言えるぐらいシンプルなデザインですが、ただ在り来りに作られているのではなく、フランスらしいエスプリが効いており、主張のない無印でベーシックなアイテムですが、身に着ける人に品や知性を感じさせます。
A.P.C.のデニム
そんなA.P.C.の人気の火点け役であり、最も定番のアイテムがこちらのデニムです。
永遠の定番アイテムながら、選択肢が多く違いが分かりにくい存在ですが、A.P.C.は「Less is more」をコンセプトに、シンプルをベースにしながらも時代の流れに沿った進化を続けていきます。
違いが分かりにくいとは言いますが、まずそれがアメリカのものか、イタリアのものか、フランスのものかで、大きな方針は変わります。
アメリカは無骨で骨太、イタリアはセクシーで色気があって、そしてフランスはクリーンで気品があり、A.P.C.はそのフランスの中でもとびきりクリーンで清潔感溢れるデニムを作っています。
ブランドの顔ともいえるA.P.C.ロゴも、一目でA.P.C.だと分かるアイコニックなデザインもなく、多くのジーンズメーカーがヒップ部分に施している革パッチや紙パッチも付属せず、正面から見てもバックスタイルから見ても、特定できる意匠という意匠が一切ありません。
逆にそのシンプルさこそA.P.C.のデニムであり、それが故に無印ながらそれがA.P.C.のものであるということは分かります。
デニムではありながらも、見た目や佇まいはもはやスラックスに近いぐらいの雰囲気も持っており、ハズしに使うにしてもアメリカのデニムなどと比べて、ドレス感をキープしたスタイリングが可能です。
男性が履けるA.P.C.のデニムは全部で4つのモデルに分類されていて、上のルックではウォッシュがかかっていますが、全モデルにおいてウォッシュがかかっていないリジッドデニムを基本とし、一部の売れ筋モデルについてウォッシュモデルが展開されています。
ニュースタンダード
A.P.C.のクラシックジーンズと呼ばれる「ニュースタンダード」。
ラインナップの中でも最もベーシックなデザインで、細身のストレートレッグだが、裾にかけて気づくか気づかないか絶妙な程度のテーパードがかかっています。
このモデルをベースに、「プチ」が付くのはタイトで、「ニュー」が付くのは裾に向かってテーパードがかかるモデルになります。
プチスタンダード
こちらは細身のストレートシルエットのユニセックススタンダードモデル、「プチスタンダード」です。
裾部分にだけ軽くテーパードがかかっていて、「プチニュースタンダード」と比べて股上が2cm浅く作られています。
こちらは細身ということもあり、ストレッチが効いているモデルと綿100%のノンストレッチモデルがあって、生地の厚みはストレッチが12.75 oz、綿100%が14.50 ozになります。
一般的なデニムが10~12 ozと言われているので若干厚めの生地感になります。
プチニュースタンダード
A.P.C.を代表するユニセックスのスリムテーパードモデルがこちらの「プチニュースタンダード」です。
「プチ スタンダード」のスリムなシルエットを継承しつつ、スタンダードの股上の深さをキープして履きやすくしたモデルになり、裾に向かうごとに段々と細くテーパードがかかっていきます。
ニュースタンダードと比べると同じ30inchで、ももは2cm、裾は3cm細くなっています。
こちらもプチスタンダードと同じく、ストレッチが効いているモデルと綿100%のノンストレッチモデルがあって、生地の厚みはストレッチが12.75 oz、綿100%が14.50 ozになります。
一般的なデニムが10~12 ozと言われているので若干厚めの生地感になります。
ニューキュアデニム
こちらは定番ではないのかもしれないのですが、A.P.C.のクラシックジーンズの中で、最もレッグが細身のモデル、「ニューキュアデニム」になります。
メンズでしか展開がないため、ユニセックスのスタンダードモデルと比べると、サイズに対しての寸法が男性の体形に合わせたつくりになっており、裾に向かうごとに絞られるテーパードモデルになります。
細身のモデルですが、生地は綿100%の14.50 oz。
定番の型は上記の4つになりますが、元々サイズ調整であらゆるシルエットに対応できることを売りにしていますので、型を決め打ちでいくよりは、ウォッシュ具合も含めて、色んなサイズ感で試してみるのがオススメです。
バトラーデニム(バトラープログラム)
そしてA.P.C.のデニムを語る中で知っておくと良いプログラムであり商品が、こちらのバトラーデニム(バトラープログラム)です。
「バトラー」とは「執事、使用人」の意味で、執事は貴族が着用していた洋服をお下がりとして着ていたことがこのバトラープログラムの所以だそうですが、
内容としましては、履きこんだA.P.C.のデニムを店頭に持ち込み、バトラーとして適当かの審査に合格すれば、そちらと引換えに新品のデニムを半額で購入することができるというものになります。
引き取られたデニムは、裏側に使用者のイニシャルが刻まれ、専門家によるリペアが行われ、大体定価の約2倍程度の価格(¥30,000〜)にて、再度店頭に並びます。
これは全て一点物になりますので、店舗によってサイズも表情も全て変わってきますが、他のブランドが作り出すダメージ加工とは異なり、実際にどこかの誰かが穿いて育てたものになりますので、中々にカッコいいです。
外が堅く中がふわっとした独特の肌触りで“フランスパン”に例えられ、最初に履いた時は板のように固いと定評のある生地も、既に履き慣らされて柔らかくなっているので、インラインのアイテムとはまた違う感触で楽しめるのではないかと思います。
条件や対象の店舗などは下記からご確認ください。
https://www.apcjp.com/jpn/denim/butler-program/
A.P.C. KANYE
そんなA.P.C.ですが、時折コラボが実施されます。
そしてその中で個人的に説明しておきたいのが、こちらの「A.P.C. KANYE」。
その名の通り、2013awと2014awに実施された、ファッションアイコン「KANYE WEST(カニエウェスト)」とのコラボです。
もう実施されることがあるか定かではありませんが、Timberlandの6inchと相性の良いこちらの色落ちデニムを筆頭に、A.P.C.らしいクリーンさとカニエの持つ絶妙なストリート感がマッチしたアイテムたちは入荷即完売。
ある種伝説じみたコレクションで、次回の開催が未定というところで自分も2014awに実際このデニムを買ったのですが、やはり最高に使い勝手が良いです。
実は自分の初めて購入したアイテムはこれだったりしていて、「インラインから買えよ」と言われてしまうかもしれませんが、本当にカッコいいコラボでした。
(ジャン・トゥイトゥとカニエの出会いはこちらから。)
もしまた次回の実施があれば積極的に狙っていきたいと思います。
最後はこんな締め方になってしまいましたが、無印のA.P.C.も勿論カッコいいです。
是非調べてみてください。
詳しいコレクションはこちら
http://www.fashion-press.net/collections/brand/166
参照:
https://otokomaeken.com/brand/26339
https://www.fashion-press.net/news/52720/2
https://www.fashion-press.net/news/52720/4