Rick Owens (リックオウエンス)
1997年、デザイナーが自身の名を冠して設立したブランド、Rick Owens (リックオウエンス)。
時に狂気すら感じさせるその独特の世界観で、メンズ・レディース問わず高い人気を誇るブランドです。
デザイナーのリックは1961年11月18日生まれ。
南カリフォルニア出身で、ロサンゼルスのアートスクールに通いファイン・アートを専攻していましたが中退。
後に技術専門学校でパターンとカッティングの技術を習得しました。
そこからさらにアパレル会社への8年勤務し、ミシェル・ラミー(現在の妻)のコレクションでパタンナーを8年務めるという下積みを経て97年に設立されたのがこのブランドです。
参照:http://www.modescape.com/mag/rickowens-all/
デザイナーの出身地的な都合もあって、2001年に発表された初のコレクションもニューヨークで行われるなど、元々はアメリカで活動をしていましたが、
現在は拠点をフランスに移し、フランスのファッションブランドとして知られています。
ちなみにそのコレクションはVOGUE MAGAZINEの支援もあって実現し、当時『フレンチ・ヴォーグ』誌のカリスマ編集長だったカリーヌ・ロワトフェルドを筆頭とする、多くの編集者たちに絶賛される形でブランドの知名度を飛躍的に上げるきっかけになりました。
リックのデザイン
そんなリックオウエンスですが、ゴシック調のダークなスタイルが特徴的です。
全面的に押し出された「黒」や、すべての素材に施されたヴィンテージ加工など、カラス族と呼ばれた時代のヨウジやギャルソンを彷彿とさせる、退廃的なモード感があります。
そんなモードさに加えて、どこかアンダーグラウンドでストリートなテイストがミックスされているのもブランドの特徴です。
またスポーティーなヘルスゴススタイルを確立したパイオニアとも言われており、Hood By Airやアレキサンダーワンなど、そのスタイルに影響されたブランドは数多くあります。
影響どころか完全な模倣をされることもしばしばで、「モードファッション界において最も模倣されているブランド」とも言われています。
しかし、それに関しては「哲学まではコピーできないから構わない」というような姿勢で、寛容に受け入れてらっしゃるそうです。
参照:http://brandbanzai.seesaa.net/article/127447196.html
数々のデザイナーから模倣されるリックですが、実は彼自身にとってもデザインのルーツとするデザイナーがいて、
単色主義、相反するミックステイスト、ドレープなどの表現手段はそこから影響されたものだそうです。
マダム・グレとマドレーヌ・ヴィオネを敬愛し、両者の流れを汲むスタイルが特徴。グラマラスとアンダーグラウンドの融合など非相称的なスタイルも見られる。その他、シャドーなどのくすんだ色合い、多くの色を使用しないミニマルな色調、ドレープの美しさを表現する。ドレープなどはヴィオネのスタイルに影響を受けている。
引用:http://www.fashion-press.net/brands/153
リックオウエンスの定番アイテム
レザージャケット
レザージャケットはリックオウエンスのアウターだけでなく、全アイテム中でも非常に人気の高い一品です。
非常に薄いレザーを用いたシャープなタイトシルエットと、ラムレザーならではのしなやかなルックが特徴的なアイテムです。(ラムスキン以外のものもあります)
INTARSIA
最も定番の型がこちらのINTARSIA(インターシャ)。
一切の無駄を削ぎ落とした、非常にシンプルなシングルライダースですが、むしろそこに価値を見出せる人にはうってつけです。
シェイプした細身のシルエットからは思いがけず、柔らかい着心地で「The Reather of RIck」の異名を取ってもおかしくない人気の一着です。
BAUHAUS
こちらはシンプルの限りを尽くしたインターシャとは異なり、首元まで入った斜めのジップがアクセントとなる一着、BAUHAUS (バウハウス)です。
ジップをどの程度開いても美しく表情を変える技有りのアイテムで、インターシャよりも退廃的なイメージを感じさせます。
価格はレザーの種類によっても変化しますが、どちらも大体20~30万円前後となっています。
スニーカー
スニーカーもリックを代表するアイテムです。
中でも特に「ハイカットスニーカー」のことを指し、これまた非常に多くのブランドから模倣されている不朽の名作です。
Geobasket
中でも最大の名作がこちら、「Geobasket (ジオバスケット)」です。
バスケシューズから着想を得て生まれた非常に長いタンが特徴的なモデルで、縦長の人体が着用するときのバランスが計算し尽くされている傑作です。
より詳しい説明はこちらのページがオススメです。
リリースされてから10年以上に渡り、毎年マイナーチェンジを重ねて変化し続けている名作ですが、デザイナーが製作に至ったコメントは以下です。
スニーカーみたいなスポーティーなシューズっていうものは決して僕が得意とする分野ではないんだ。それでも僕が「Geobasket」を10年ぐらい前に作り始めた理由は、当時世間に存在したスニーカーに失望させられたから。当時のそれらは僕の目には本当に退屈なものに見えたんだ。もっとエキゾチックな存在に変えたかった。
引用:https://hypebeast.com/jp/2016/6/rick-owens-sneakers-interview
adidas by Rick Owens
こちらはリックそのものではありませんが、2013年からフットウェアに焦点を当てたadidas (アディダス)とのコラボレーションラインが存在します。
こちらのコラボラインは「実用的なデザイン」という観点からデザインされており、「エクササイズに取り組む自分のやる気をかき立ててくれるようなシックなシューズが欲しい」というリック自身の個人的願望から生まれています。
スリールトライプでお馴染みのアディダスの意匠は、視認できるか分からないぐらいの通気孔であしらわれています。
リックの別ライン
DRKSHDW
ちなみにリックには「DRKSHDW」というカジュアルラインが存在します。(レディースは「RICKOWENSLILIES」)
メインラインのレザーや、薄手のウール、シルク、といった素材に対し、デニムやスウェット、ジャージ、コットン素材をメインに使うことで、よりタウンユースにデイリーに取り入れやすいアイテムを展開するラインです。
“RICK OWENS”が厳選されたショップに提案する”DRKSHDW”ダークシャドウは,上質なジャージー・コットン・スウェット・デニムなどの”ラフでタフな素材”を用いた日常的でミニマルなコレクションです. メインラインと同様に,くすんだようなシャドーカラー,縫製後に手を加えてヴィンテージ加工を施した廃退的な雰囲気 × 独創的な美しいパターンの細部までこだわりの詰まった作品は,”洗練された都会的なエレガンス×アンダーグラウンド” の相反する世界観の融合を表現しています.
引用:http://bordeaux.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1700746&csid=0
ちなみにリックは元々レディースブランドであったため、レディースのカジュアルラインにあたる「LILIES」がスタートした2005年にメンズラインがスタートし、「DRKSHDW」はさらにその後に生まれました。
どのラインでどのようなアイテムが展開されているのか難しいのでご注意ください。
こうして紹介してきましたブランド、リックオウエンス。
数々のモードブランドの起源に位置するデザインは必見です。
是非また実物を探してみてください。
詳しいコレクションはこちら
http://www.fashion-press.net/collections/brand/153