FUMITO GANRYU |服と体の関係性に迫るニュートラルでコンセプチュアルなウェア

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FUMITO GANRYU (フミトガンリュウ) /デザイナー 丸龍文人

デザイナー、丸龍文人氏が自身の名を冠して2018年にスタートしたブランド、FUMITO GANRYU (フミトガンリュウ)。

まずこちらのブランドを紹介する前に、少し歴史から語らせていただきます…

GANRYUについて

日本で最も評価、認識されているブランド、COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)

ブランドとしての力は勿論、デザイナーの登竜門的な存在でもあり、sacaikolor以外にも、東京で活躍するブランドのデザイナーにはギャルソン出身の方が非常に多くいらっしゃいます。

そんなギャルソンですが、社長の川久保玲以外に、主要なデザイナーをしている人が三人いました。

それが渡辺淳弥、栗原たお、丸龍文人の3人。(敬称略)

そしてその一人、丸龍文人氏が2008年にスタートしていたブランドがGANRYUというブランドでした。(コム デ ギャルソン社最年少デザイナーだった)

GANRYUはギャルソンの中でも少し異質な存在で、ギャルソンも含めて当時のモード界にまだ希薄だった「ストリート」のムードを取り込んだスタイルを提案。

「ポップと前衛とベーシック」をブランドコンセプトに、ギャルソンに新たな風を吹き込むブランドとして機能していました。

後に見事に「ストリート」の流れが来た訳ですが、バックグランドにそのセンスを持っていた丸龍氏と、それを予見していた川久保氏の采配あっての存在でした。

しかし丸龍氏のギャルソンを退社に伴い、GANRYUは2017SSをラストシーズンとしてブランドを終了。

数多くのファンに惜しまれながら、一度シーンから姿を消しますが、

期待的観測からか復活するという噂話も聞こえ始めた2018年、世界のメンズウェアシーンを牽引する合同展示会「ピッティ・ウォモ94」のデザイナープロジェクトで「FUMITO GANRYU」として参加することが発表され、センセーショナルなデビューで再始動したのがこのブランドです。

コムデギャルソン内の一ブランドとしてではなく、シグネチャーブランドとして、GANRYU時代より更に丸龍氏の考えがダイレクトに反映された服作りで、21世紀における服の在り方への探求をもとに、服と体の関係性に迫るコンセプチュアルなウェアが提案されています。

FUMITO GANRYUのデビュー

引用:https://i-d.vice.com

ショーで発表された2019SSは“自然と都市”をいかにインタラクティブにつなぐかをテーマに製作され、中でも“水”からインスピレーションを得たアイテムで彩られました。

その“水”ですが、中でも分かりやすい表現方法としてあげられるのは「防水」「速乾」。

春夏コレクションのデリバリーは冬にスタートするので、1stデリバリーには水を完全に弾き、断熱効果もある冬のレインウェアとしても活躍できるネオプレーン素材、その後の実売期にデリバリーされるアイテムには速乾性を持つラッシュガードという素材が使われました。

2019SS

接触冷感性が備わっているラッシュガードの生地は一般的に表面がシャイニーな印象が強いですが、マットな質感を持っていて、落ち着いた雰囲気のテクスチャーを使うことで、そこのイメージを打ち消しつつ、

「あえて水分を吸収させて、液体から気体に変化する時の気化熱を利用して涼感を与える」速乾の機能そのものに、自然界とのインタラクティブな関係を体感できるものとしての役割も担わせました。

2019SS

またショーのスタイリングでは、脱いだ服を身体に取り付けて持ち運びができることも表現され、そうした機能面での流動性でも“水”を感じさせるものとなっていました。

水は液体であり、個体にも気体にもなり、何色でもあって何色でもなくなる。そうした水の能力を抽出して洋服で表現したいという考えはありました。加えて現実的なこととして、ネオプレーン素材の服を脱いで、仮に無造作に手で持ち運んだとします。そうすると、どうしても不自然なシワが入りやすい。その運搬自体をいかに煩わしさを感じさせない快適なものとするか。むしろ楽しみとするか。その事を実現させる為に、少ないアクションで簡単にアジャスト出来るファンクションや仕様を考えました。その結果として運んでいるときのフォルムはメンズウェアとしてありえない様な形を生み出していて、それはまるで水のように形があって形がない。通常の着る設定ではないときの“なり(為り)”で生まれる形というものとシンクロしたのです。

引用:i-D VICE

まるで連想ゲームのような言葉遊びで、素材が持つ「機能」「イメージ」「佇まい」..色々な要素をぶつけ合って作られる服はやはり非常にコンセプチュアル。

解説いただけないことにはその全てを理解することはできないのですが、分かりやすい表面的なデザインとは違う、掘り下げるといくつものレイヤーが顔を覗かせる模倣不可能なデザインは、服好きには堪りません。

ニュートラルなウェア

2019AW

丸龍氏はデザインにおいて「いかにゼロを表現するか」を意識していると言います。

未来的で都会的なストリートだがサイバーパンクではなかったり、自然をテーマにサステナビリティに対する意識を感じさせながらもナチュラル志向ではなかったり。

掲げたテーマを反映させながら、「いかにゼロにするか」、「いかに打ち消すか」を考え、ブランドの美学として「ニュートラルな佇まい」を非常に意識されます。

「ニュートラルであればオケージョンを選ばない服にもなる」という視点で、都会にも自然にも繰り出せるSUVのように、モードでもありながら自然にも臨めるそんなハイブリッド感を漂わせる服作りもFUMITO GANRYUの良さです。

また、そのニュートラルな観点で言うと、メンズ・レディースという分け方も打ち消すことができる対象なのではないかと丸龍氏は考えます。

性別自体を認めるというより、はなから性別自体を持たせない服作りこそ、当時やりたかったことなので、ユニセックスという言葉を捨て、性別のない服として、僕が本来考えていたユニセックスにトライしようと。

自分自身、元はレディースのパターンナーで、学生時代もレディースのデザインをしてたので、今はメンズと、両方経験してるんですね。

今のユニセックスって、レディースとメンズそれぞれの良さを高めあって、ひとつにすることでユニセックス、という感じなんですが、僕は、両方知っているがゆえに、それらの要素をいかに打ち消すか、みたいなこともできると思っていて。

だから今、時代が向かっているユニセックスとは真逆の考え方なんですよね。

引用:SSENSE

主に着られるのはメンズかもしれませんが、そういった観点からメンズが着てもレディースが着ても同じシルエットで着られるものばかりです。

逆にそういった境界がグレー化する今だからこそ受け入れられるようになってきたシルエットやカラーリングなども絶妙に組み込まれていて、それでいて意外にもバランス良くスタイリングにハマってくれます。

まず自分自身が着たいと思える服の中で、更にその広がりを考えてデザインし、生活の中のリアルなシーンでフィードバックを繰り返しながら生まれるという服は、とても頼もしさがあります。

FUMITO GANRYUの名作アイテム

サルエルパンツ(SARROUEL PANTS)

GANRYU

GANRYU

GANRYU時代からブランドを代表するセンセーショナルなアイテムでもあったのがサルエルパンツです。

サルエルパンツの起源はイスラムの民族衣装で、高温多湿な環境でも脚に張り付く不快感が少なく、通気性良くサラリと着られるために生まれていた訳ですが、ストリートの発祥は西洋。

全く文化の異なる二つのマッチングのように見えますが、その二つを繋げたのは意外な合理性。

スケーターの方々がデニムの腰履きをされるのはご存知かと思いますが、あれは単にだらしない訳ではなく、急所にボードが直撃するのを避けるためで、それならばと初めから股上を深く取ったサルエルパンツがストリートでも取り入れられるアイテムとなったのです。

今ではもう市民権を勝ち得たアイテムですが、ストリートシーンにいち早く落としこまれるきっかけとなったのはGANRYUなのではないかと思われます。

GANRYU時代はベルトループが複数あるものなど色々な仕組みがありましたが、FUMITO GANRYUの多くのボトムスにサルエルが効いています。

(また朗報で、GANRYU時代を彷彿とさせる定番のサルエルデニムも、コレクションのラインとは別の形で復活していきそうです。)

[パルクールパンツ(PARKOUR PANTS)]

2019AW

そんなサルエルの要素を入れながらここ2シーズンほどリリースされたのがこのパルクールパンツです。

パルクールはフランスの軍事訓練を起源とする、「走る・跳ぶ・登る」といった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツなのですが、このパルクールパンツはその名の通り、実際にパルクールの競技をする人たちが着るようなシルエットになったパンツです。

動きやすく、深い股上はケガの防止の役目も果たし、ゆったりとしたシルエットは動きをダイナミックに見せてくれます。

自身もパルクールを見るのが好きだという丸龍氏が作った新定番のため、色々な素材、カラーリングで登場しますが、是非チェックしてみてもらいたいと思います。

トラペーズダッフルコート(Trapeze Duffle Coat)

2019AW

2019AWで登場し、同コレクションでも非常にアイコニックなアイテムとして話題となったトラペーズダッフルコートです。

台形を意味する「トラペーズ」をモデル名に冠し、足首まであるロング丈に身体全体を大きく包み込むような裾広がりのビッグシルエットが特徴の一着で、

オーセンティックで温かみのあるデザインを踏襲しながら、メタル製のトグルやブランド定番のメタルボタンがソリッドなイメージも添えつつ、裏地に意外性のあるメッシュ素材を用いることで、アウター自体の重量を押さえるという現代的なアレンジも秀逸です。

引用:https://www.honeyee.com/news/fashion/003079

グローバーオールなど定番ブランドが過不足ない完成したものを作っていて料理しにくさがあったのか、意外にもあまりモードブランドたちにタッチされてこなった印象のあるダッフルコートですが、これはまさに唯一無二。

ネイビー、グレー、キャメルの3色展開でリリースされましたが、個数自体も多くはなかった即完売のアイテムで、自分も一度完全に買いっぱぐれましたが、何とか運良く発見できて買うことのできた紛れもない名作です。

2019AW

こうして紹介してきましたブランド、フミト ガンリュウ。

非常に素敵なブランドになりますので、是非チェックしてみてください。

公式インスタグラムはこちら

https://www.instagram.com/fumitoganryu/

この記事を書くにあたり引用・参照させていただいた記事:

https://www.ssense.com/ja-jp/editorial/fashion-ja/the-chaotic-neutral-of-fumito-ganryu

https://www.vogue.co.jp/fashion/from_editor_in_chief/2018-09-05/fumitoganryu

https://i-d.vice.com/jp/article/wjkkwn/mind-of-21st-century-fumito-ganryu-interview-01

https://www.honeyee.com/news/fashion/003079

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ABOUT管理人

結城 一

鈴蘭幼稚園卒。神戸大学経済学部卒。
市民レコード 宣伝販促部 販促チーム。
所得を弁えず覚悟だけで服を買っていく人生。
売れ線の音楽とアニメを嗜むミーハー。
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