sacai(サカイ) /デザイナー 阿部千登勢
デザイナーの阿部千登勢氏によって1999年に設立したブランド、sacai (サカイ)。
独特の空気感を持つ服作りが魅力です。
ブランドコンセプトは「日常の上に成り立つデザイン」。
スタンダードなものを大切にしながら、エレガントな要素を加えたり、クラシックなアイテムにひねりを加えることで、ベーシックながら目新しいデザインが生まれます。
ブランドの立ち上げから今まで、大々的な宣伝はほとんどありませんでしたが、
セレクトショップで実際に商品を手にしたユーザーや名だたるスタイリストたちの口コミで、雑誌にも取り上げられ、みるみる知名度と人気を高めていき、既に売上高が100億円を超えるトップブランドとなりました。
元々様々な国で着られてきた物がファッションとなってきた中で、シャツもパンツもある種決まった型というものはあります。
その結果、どうしても広義には何かの焼き回しにも見えてしまう服が多い中で、sacaiは完全に「他とは違う服」が作られます。
そういった点では国内ブランドでありながら、非常に外向的なデザインでのため、国外からの評価も非常に高く、世界中のファッショニスタに愛されるブランドになっています。
唯一無二のデザインでありながら意外とリアルにも落とし込めるバランスなので、個人的にも必ずチェックするブランドで、毎シーズン何かしら買うことが多いです。
またデザイナーの「阿部」という苗字とそのセンスから、薄々勘付いていらっしゃる方も多いかもしれませんが、
こちらのデザイナー「阿部千登勢 (右)」氏は、実はkolorのデザイナー「阿部潤一 (左)」氏の配偶者で、お二人とも元々ギャルソン出身のデザイナーです。
世界でも有数のセンスフルな御夫婦です。
sacaiの名作
ちなみにデザイナーの阿部千登勢氏は、ギャルソン時代にニット作りを担当していました。
そして1996年の結婚、出産を機にギャルソンを退職し、
1999年、子育ての傍、自分の子供が着られるニットを編もうと5型のコレクションでスタートしたのがこのサカイになっています。
ここからはそんなブランドの名作を紹介していきます。
ニットアイテム
前述にもありますように、そもそもサカイは元々ご自身のお子様のニットを編むところから始まったブランドになっています。
そういった所で、ニットはブランドのルーツとも言える看板アイテムであり、また世界で高く評価されています。
もちろんベーシックな物もあるのですが、サカイのニットと言いますと、やはり高度な技術の元に成立するテクニカルなデザインが特徴的です。
異素材などをミックスしながら、色を変え、編み込みを変え、作られるニットは温かみがあり、とても素敵です。
後にも紹介しますが、中でもやはりこのドッキングのディテールを組み込んだニットは傑作です。
編み込みの仕方で変化を付けるようなデザインであればこれまでもあったかもしれませんが、色も編み込みも変えつつ、さらにジップも配してライダースに再構築したりするようなことができるのはsacaiだけかと思われます。
アウターも兼ねるような作り込みになってくると¥100,000近くしてくるため、簡単に買えるアイテムではないかもしれませんが、それでもこの唯一無二のデザインは即完売のため入荷タイミングは要チェックです。
アイテム自体の表情は毎シーズンガラリと変わりますが、ブランドを代表するアイテムですので間違いはありません。
その秀でたセンスとデザイン性から芸能人も御用達です。
ドローコードシャツ
ニットはブランドの代名詞的なアイテムですが、やはりこちらの「ドローコードシャツ」も定番アイテムとして外すことができない存在です。
個人的にもsacaiに入るきっかけとなった一着で、入門にぴったりのアイテムでもあります。
これは名前の通り、シャツの裾の部分が切り替えられていて、ドローコードになっています。
あまり普通のシャツに搭載されるディテールではないため、このアイテムはシャツながらブルゾンのような表情を持っています。
ですので、一枚で着たときに普通のトップスでは何か物足りないところも、このシャツであればそれだけで様になります。
インナーとして着た時もちょっとしたアクセントになってくれるため、レイヤードに使えるアイテムとしても性能が高く、ほぼオールシーズン着ることのできる汎用性があります。
コードの締め具合、括り具合で、シルエットが自分好みに調整できるのもすごく良いです。
最近流行のタックインなど、実際に裾をパンツの中に入れようとすると思ったより上手くいかない着こなしが幾つかあると思うのですが、
これなら狙い通りの見せ方ができます。
一枚あるととても便利なアイテムです。
イージーパンツ
こちらのイージーパンツも定番の名作です。
ルックを一見する限りでは全くイージーパンツ感がない、という印象を受けるぐらい上品な見た目のアイテムになります。
裾と腰回りに注意深く目を向けてみて初めて気づくぐらいの絶妙な抜け感です。
ウールやコーデュロイ、スウェットにデニムまで、シーズンによって変わりますが、非常に幅広い素材で展開されます。
上品な見た目と軽快な履き心地を両立する一本で、場合によってはそれが本当にイージーパンツだと信じてもらえないかもしれません。
まさに大人向けな一着と言えるかと思います。
ドッキング
そしてアイテムという訳ではありませんが、ここ数シーズンでsacaiを象徴するディテールとなっているのがドッキングです。
ドッキングというのか再構築というのか言い方は様々かと思いますが、例えば「デニム ジャケット×MA-1」といったように、定番となる複数の型をつなぎ合わせ、ジャンル分けできない新たな一着を作り上げてきます。
右のブルゾンは、グレンチェックのジャケット、M-65、MA-1といった様々なアイテムから再構築された唯一無二の一着でした。
こちらはレディースですが、やはりどのようなテイストにもハマるからか、パーツとしてミリタリーなアイテムがドッキングされることが多いです。
元々個として成立していたもの同士を繋ぎ合わせて作られる、言うなればキメラ的なアイテムのはずですが、掛け合わせ方が巧妙なため、かなりクリーンなイメージでまとまり、また高い技術力の妙か、シルエットも全く崩れることなく綺麗に成立します。
一着の中でレイヤードになったようなものも、様々な種類がありますが、どれも後々アーカイブとして語り継がれそうなアイテムばかりで、立ち上げ即完売のものばかりです。
単純な1つのルールに沿った作りであれば、工場のラインに乗せることで作れてしまいますが、一筋縄ではいかない凝った作りになっています。
1つのパーツ毎に作業するラインが必要なため、スムーズな量産はできず、勿論値段もかなりしてはくるのですが、パターン・素材のミックスも含めて、軽い気持ちで模倣できないデザインのため、後にも先にもこのディテールを織り込めるのはsacaiだけかと思います。
こちらはドッキングではありませんが、窪塚洋介の着用で話題となった「Bar Italia London」のパーカーとTシャツ。
Tシャツとフーディは、sacaiとロンドンのSOHO地区にあるBar Italia(バー・イタリア)とのコラボレーションアイテム。今シーズンのテーマである“人種のるつぼ”にちなみ、学生時代にこの店を訪れたデザイナーの阿部千登勢が、様々な人種や職業の人々が集まる様子を思い出したことから、今回のコラボレーションが実現した。創業70年を数えるBar Italiaは、Paul Weller(ポール・ウェラー)やMartin Freeman(マーティン・フリーマン)などの大スターから、市井の人々まで同じように肩を並べて楽しめる、言わば街の顔とも言える存在。店舗の外壁に飾られたネオンサインのみを配した潔いデザインからは、“みんなの店”に対する敬意と愛情が見て取れる。身に付けていると新たなコミュニケーションが生まれるだけでなく、ファッションの楽しさを再確認させてくれる。
引用:https://www.honeyee.com/news/fashion/002767
光っているわけではありませんがそうも見える、見たことのない発色のプリントで、シンプルながらストリートブランドのワンポイントとはまた違う上品なデザインで、こういったところもイチイチ味があるのがsacaiです。
NIKE×sacai
これは多くがレディースでしたが、運動着の範疇を逸脱したデザイン性の高さで話題を集めたのがNIKEとのコラボです。
最初はアパレルも含めて限定的に実施されていたコラボレーションですが、現在もスニーカーのリリースは続いています。
こちらは初期に即完売だったAIR MAX 90。
レースを完全に排しつつ蛍光色をインナーに入れ込み、かなり近未来的なデザインの一足です。
初期のコラボの中でサイズによってはメンズも着用できる唯一のアイテムでした。
こちらはルックでも登場し、話題を集めたBLAZER MID。
AIR MAXは最初のみでしたが、こちらは色違いで2度リリースされています。
ナイキを象徴する「スウッシュ」、ヒールカウンター、シュータンなどが全て2つ重なった特徴的なデザインです。
BLAZER MIDと同じく2度リリースされているLD WAFFLE。
2つのスウッシュやシュータンなど、BLAZERとディテールは似ていますが、段々になったソールとヒールにエッセンスの効いた一足です。
かなり熱いスニーカーブームの今、普段sacaiを着ない方にも狙われ、SNKRSなどでも即完売で、中々プロパーで手に入れることは難しいかもしれませんが、極稀にリストックなどもあるようなので、定期的なチェックをオススメします。
そんなコラボもあったサカイですが、随所に拘りを持った本当に素敵な服作りがされています。
男女問わず、是非一度手に取ってみてもらいたいです。
詳しいコレクションはこちら
http://www.fashion-press.net/collections/brand/284