YANTOR (ヤントル) /デザイナー 坂倉 弘祐、吉田 賢介
2008年、武蔵野美術大学を卒業したデザイナー、坂倉弘祐氏、吉田賢介氏の2人によって立ち上がったブランド、YANTOR (ヤントル)。
デザイナー自身によるパフォーマンス、映像、書籍など、様々な取り組みで2009年からコレクションを発表しております。
ONE BY ONE
有名なのは2013-14AWより写真家・青木勝洋氏とのコラボレーションで行なわれているこちらのプロジェクト、ONE BY ONE。
このプロジェクトでは、旅の道中で出会う人々にYANTORの服を即興でスタイリングすることでコミュニケーションとり、そこでの一枚をルックブックに用いています。
インド・ラジャスタン地方やチベット文化圏のラダックなど、原地の方々のライフスタイルや衣装とYANTORのコレクションラインとのスタイリングを試みました。
全く異なる文化圏の人々でありながら、不思議と溶け込んでしまう色彩感覚やシルエットなど、モデルを起用して作り上げるルックとはまた別の何かが感じられます。
もちろんこの二人のご老人もモデルなどされたことはないでしょうが、何とも荘厳な雰囲気があって非常にカッコいいです。
そんなYANTORのブランドコンセプトは「SITUATIONS」。
衣服を人と社会を繋ぐツールとして捉え、衣服を作り、その使い方で様々なシチュエーションを生み出すという意味を持っています。
上に挙げたプロジェクトなどはその最たる例でしょう。
ちなみにブランド名は「YANTORA」というヒンドゥーの護符から取られており、物に魂を込めるという意味があるそうです。
この由来もブランドのコンセプトを見事に言い表している気がします。
参照:http://antagonist-info.tumblr.com/post/73973201522/
YANTORのデザイン
YANTORの服は全て民族衣装に特有のアプローチである「一枚布で作る」という手法を取り入れています。
分かりやすいところではインドのサリーであったり、日本の着物であったりをイメージしていただけると良いかと思います。
このアプローチを聞くとついついイッセイミヤケを思い浮かべてしまう方も多いかと思いますが、新進気鋭のドメブラの中で、今改めてそこに着目しているのがこのYANTORになります。
布を纏うというところを意識し、体から離して落ち感の分量感だけ計算。
重力がかかることで完成となる形を作り出すのが特徴的です。
そういった所で生まれる絶妙なドレープ感であったり空気感であったりがヤントルらしい魅力で、ゆるめの着こなしを好む方にはこれ以上なくハマってくれるのではないかと思います。
数々の業界人を輩出している武蔵野美術大学(通称:ムサビ)の中でも、普段から非常にお洒落であると定評があったデザイナーお二人が作る服。
案の定カッコよくてセンスフルなラインナップが揃います。
KESAコート
ファッションを通して何かしらの哲学を表現しているヤントルは、様々な解釈で既存の衣服をアップデートします。
ここで言う衣服とは、ジャケットやパンツなどのありきたりな型ではなく、むしろ市場には出回らない型です。
例えば上のルックで使われている「kesaコート」などがその代表です。
こちらは仏教の僧侶が身につける袈裟をコートとしてモダンにアップデートしたもので、「纏うように着る」というブランドらしさが溢れます。
最近はワイドパンツの流行もあって、袴をソースとしたパンツは幾つかのブランドで展開されていますが、袈裟から考え出されたこちらのアイテムは中々他に類を見ず、ブランドのアイコニックピースとなっています。
値段は¥60,000前後ですが、またチェックしてみてください。
定番アイテム
6タックパンツ
こちらは修道士(MONK)の普段着をイメージして作られたと言われるブランドの定番アイテムです。
名前の通り、6つのタックが前後に合計4ヶ所入っており、絶妙なドレープ感を生むワイドシルエットが特徴的です。
モデルによってテーパードがかかったり、そのままストンと落ちるストレートだったり様々のため、好みの一着を探してもらえれば良いかと思います。
6タックが定番であるが故に、シーズンによっては敢えて3タックなどのモデルも展開されます。
コットンだけでなくウールやリネン、ネップツイードなど素材感も様々で、型が同じでもその各々で全く異なる表情を見せてくれます。
値段は大体¥30,000前後ですが、緩い着こなしが好きな方にはドンピシャのアイテムかと思います。
こうして紹介してきましたブランド、YANTOR。
ルックでも登場しており、お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、かなりフリーに着られる作りで、メンズだけでなくレディースの方も着られるユニセックスブランドとなっています。
また女性の方も探してみてもいいかもしれません。
公式サイトはこちら