GIVENCHY (ジバンシィ)
ユベール・ド・ジバンシィが自身の名を冠し、1952年に設立したフランスのファッションブランド、GIVENCHY (ジバンシィ)。
デザイナーは元々裕福な家庭に生まれ、何不自由のない生活を送っていましたが、10歳の頃にパリ万博で見たデザイナー作品の展示に強く影響され、ファッションの道に進みます。
そして24歳となった彼は、1951年、初のコレクション制作に臨みますが、資金面の課題に対処すべく、コットン素材のシンプルなドレスやブラウスを発表します。
その中のシャツ地で作った開襟、ラッフル袖の「ベッティーナ・ブラウス」が話題を呼び、その斬新なアイデアとシャープな感性が絶賛され、「モードの神童」と評価されるようになります。
ブランドの設立はその翌年、1952年の2月2日で、元々はレディースブランドとしての登場でした。
そんな往年のジバンシィの代表的な顧客といえば、オードリー・ヘップバーン。
彼女主演の映画「麗しのサブリナ」の衣装を手がけたことをきっかけに、急速に知名度を高めていきます。
当時の一大トレンドであった、体のラインを美しく見せるディオールのニュールックとは対照的に、ジバンシィは体のラインを強調しない自由なスタイルを提案しました。
それがウエストもヒップもない「シュミーズドレス」で、「革命的な衣装」として話題を呼びます。
こうして一躍トップブランドと上り詰めていったジバンシィですが、メンズラインの登場はブランド設立から20年ほど後の1973年。
「ジェントルマン・ジバンシィ(GENTLEMAN GIVENCHY)」として生まれ、1999年以降レディースと共に「ジバンシィ(GIVENCHY)」として統一されています。
参照:https://www.fashion-press.net/brands/23
ハイファッションとして提案するストリートスタイル
創業者であるジバンシィが引退したのは1995年で、後にジョンガリアーノやアレキサンダーマックイーンなど、錚々たる顔ぶれが後を引き継ぎ、紆余曲折ありながら存続してきましたが、
2006年以降(2016年現在)のデザイナーを務めるのは、リカルドティッシで、彼がデザインを務めている現ジバンシィは、厳密に言いますと「ジバンシィ・バイ・リカルド・ティッシ」という名で呼ばれます。
リカルド ティッシはコレクションのカラーに黒や白を使用する。しばしばその特徴として、ダークでゴシックタッチ、ミニマルなファッションと評される。しかし、2007年のニューヨークタイムズのインタヴューでティッシは自身のファッションに関して「ゴシックと表現されることもありますが、ゴシックだとは思いません。ロマンティックで感覚的なタイプのものが好きです」と語っている。
コンセプチャルな傾向があり、多くのファッション誌がそのコレクションを絶賛している。歴代のジバンシィのデザイナー(ジョン ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーン、ジュリアン マクドナルド)と比較しても、ティッシの評価は高くブランドを甦らせたと言われている。
引用:https://www.fashion-press.net/brands/282
90年代以降、Supremeなどのブランドを筆頭にストリートスタイルが広がってきたのは有名ですが、ハイファッションとストリートの間には、「水と脂」的な関係が強く残っていました。
それはハイファッションの発信地(パリ)と、ストリートスタイルの発祥の地(アメリカ)の物理的、精神的距離感があったからでしょう。
そんな状況で平行線を辿っていた二者を、アメリカ発のそのスタイルを取り入れ、パリから発信し始めることで交わらせたのがこのジバンシィだと言われています。
今でこそ当たり前のようにミックスされている文化ではありますが、彼(リカルドティッシ)の提案が爆発的人気を生んだのが始まりです。
ゴシックな色合いで独特の荘厳さを兼ね備えたレイヤードスタイルから不思議な迫力を感じ取ったユーザーはそれほど多かったのでしょう。
数々のアーティスト、著名人にも着用され、その名を轟かせます。
特にカニエウェストなどのファッションリーダーがステージ衣装として好んで採用したこともあり、今では誰もが知る強い影響力を持つ存在となりました。
参照:http://fashionzine.jp/high-and-street-relationships/
プリントアイテム
そんなジバンシィを代表する人気アイテムがプリントアイテムです。
Tシャツからスウェットに至るまで、宗教的なモチーフや動物、星条旗などをソースにした斬新なデザインのプリントが特徴的で、モードなセンスとストリートなテイストを兼ね備えています。
こちらはディズニー映画でお馴染みのバンビが登場したモデル。
ボディの中央で、抽象的な女性が描かれた絵画と切り替わっており、それがバンビの向かう先、あるいは別の姿などを示唆するのか、非常に解釈は難解ですが、とにかくジバンシィらしいエッジの効いたモデルで人気を博しました。
こちらは代表的なプリントのロットワイラーです。
名前の通り、ロットワイラーという種類の犬のプリントを大々的に配したモデルです。
こちらは前述のカニエウェストによって着られたことで爆発的な人気となり、即完売、プレミアがつくことになりました。
こちらのモチーフも非常に人気の定番です。
ストリートの本場、アメリカの国旗でもある星条旗をソースにしたのか、星のモチーフは様々なモデルで使用されるデザインです。
ここまで紹介してきたモデルと共存するデザインでもあり、ロットワイラーの上に首回りを飾るようにスターが散りばめられることもあります。
このモデルなどはジバンシィの代表的な二つのモチーフが一枚で堪能できてしまう非常に分かりやすい素敵なモデルです。
かなり発信力が強いので、シンプルなジャケットの下にこれを合わせてあげるだけでもかなりバランスの変化に一役買ってくれると思います。
このスターモチーフはプリントだけでなく、刺繍やメタルプレートなど、様々な装飾で施されます。
またチェックしてみてください。
最後は宗教的なモチーフを利用したモデル。
聖母のようなプリントの上からレイヤードされるナンバリングは道徳的に問題がないのか心配になる程ですが、こう言ったテーマをストリートモードに昇華できるのはジバンシィならではでしょう。
ここで紹介してきた以外にも、極楽鳥柄やより一層、星条旗やキリストの像などを押し出した物など、非常に様々なモデルがあります。
残念ながら値段は最も安いTシャツでも¥40,000~ぐらいの相場になります。
偽物も大量に溢れていますので、ご注意ください。
こうして紹介してきましたブランド、ジバンシィ。
ストリートとモードをつなぐ存在としての魅力はさることながら、シンプルに訴求力の高すぎるデザイン性も素敵です。
是非また一度実物を探してみてください。
詳しいコレクションはこちら
https://www.fashion-press.net/collections/brand/23