CLASS (クラス) /デザイナー 堀切道之
デザイナー、堀切道之氏が手掛けるメンズファッションブランド、CLASS (クラス)。
2000SSから英国のニット工場であるCORGI社へ生産を依頼してスタートしたニットブランドを原型とし、
2003AWからアイテムを少しずつ加えトータルブランドへとシフトしていったブランドです。
コアな服好きの間で少しずつ浸透しており、メディアに露出もしていますが、
そもそもブランド名が「CLASS」という多くの分野でありふれた名前のため、中々検索でヒットしません。
取り扱っているお店も多くはなく、中々実態の掴みにくいブランドです。
ブランドコンセプトは
「恒久的な服をアヴァンギャルドに、アヴァンギャルドな服をリアルクロージングに」。
パーソナルスタイルを基調としたデザイナー本人が着たいと思う服、望む服が展開されています。
服好きにはたまらないドメブラ
そんなCLASSですが、ここは数ある強い拘りを持ったドメブラの中でも、群を抜いて「味」と言いますか「色」のあるブランドです。
コンセプトにありますように、前衛的な服を日常着に落とし込むデザインが特徴的なのですが、
毎シーズン与えられるテーマが非常に難解で、アイテムも誰もが簡単に着られるものではありません。
良くも悪くも癖は強いです。
しかし、そんな少し難しそうなアイテムでも、どこか手を出しても良さそうな馴染みやすさがあって、
まさにファッションの醍醐味とも言えるチャレンジングな気持ちを訴求してくれます。
そしてその親しみやすさは、素材や加工、配色など、様々な要素で精緻な計算がされて生まれている。
これがこのブランドの魅力であり、服好きを唸らせる理由かと思います。
幾つかアイテムを例にとって具体的に見ていきましょう。
Domino (2015ss)
これは職人技が光るジャケット、「Domino」。
ルックを見てお気づきになるかもしれませんが、ジャケットの前身頃にかけて、毛芯が透けて見えるようになった一着です。
本来裏側からしか覗くことのできない毛芯。
職人さんの手作業が明らかになってしまう部分ですが、それを敢えて白日の下に晒すことで、文句無しの高い技術力をコンテンツとした面白い一着です。
Columbia
また先ほどのルックでもアクセントとして効いていたのがこちらのレッグウォーマー、Columbia。
これはアイテム自体に何か仕掛けがある、という訳ではないのですが、まず見たことのない型なのではないかと思います。
少しスポーティーでエスニックな要素がありながら、スポーツソックスとは完全な別物。
ジャケットのハズしに使っても面白いですし、こんな風にデニムの裾下からチラつかせるのも面白いです。
ルック単位でもこういう提案がされるのがクラスの良い所かと思います。
これが変な布切れに映るかでこのブランドを楽しめるかが決まってくるかもしれません。
Sales Sample Shirt
こちらはあまりにも伝わりにくい玄人向けの一着、Sales Sample Shirtです。
これはファッションディーラーがセールス用サンプルとして持ち歩いたシャツから着想を得たものです。
元々セールスサンプルシャツとは、一枚で様々な色や柄の生地をセールスするため、派手なパッチワークのものが多いのですが、
クラスの “Sales Sample Shirt” は、ウルトラスエードが配された襟を除いては、もはやシンプルな白シャツにしか見えません。
これは3種類の番手違いホワイトブロードクロス(80双、100双、120双)をパッチワークしたものになっているのです。
参照:http://kinksakae.exblog.jp/24010701/
実際にこの説明を受けてから触らないことには分からないぐらいのレベルですが、こういう分かりにくい差別化もクラスらしさかと思います。
GURU-GURU
これは技ありの一本、「GURU-GURU」。
ダブルフェイスの圧縮フラノ生地を利用して、特殊な縫製方法で仕上げられたワイドパンツです。
特殊ミシンによりパーツとパーツの隙間をなくして縫い合わせる”ZERO-SEAM”という縫製方法を採用がされていて、
縫製部分の厚みが全く出ない、フラットな状態に仕上がります。
ちなみにこの縫製が可能な職人は日本でも数人だそうです。
色々なアイテムが展開されますが、このような技術力とのコラボレーションで成立するアヴァンギャルドなアイテムはやはり魅力的です。
定番アイテム
newman
毎シーズン新たなアイテムが展開されていくブランドですので、定番物を把握しづらいのですが、いくつかありますので紹介していきます。
まずはこちらのTシャツ「newman」です。
120/2度詰め天竺という素材を高密度で織り上げ、ドロップショルダーのゆったりとしたビッグTeeです。
多くのブランドから白Tは提案されますが、このnewmanは高めの詰まった首元が特徴的です。
薄手で肌触りが良く、艶もあるため、夏場の主役を張れる一枚です。
ちなみにネックの太いリブは伸縮性があり、ルックスも印象的ながら、着用を重ねてもヨレにくい工夫が施されています。
主に白と黒で展開されますので、またチェックしてみてください。
ウルトラスエードシリーズ
そしてアイテム単位ではなく、素材単位になりますが、
この「ウルトラスエード」はクラスの代名詞とも言えるシリーズです。
ウルトラスエードは、ポリエステルとポリウレタンで構成された超極細繊維が束状になって緻密に絡み合った天然スエードと同じような構造の人工皮革。
70年代に東レが最先端テクノロジーを駆使し開発した革新的な素材です。
高級車の内装素材としても使われるウルトラスエードは、天然皮革の約半分の軽さで丈夫、そして、洗濯が可能という特性を持ちます。
また、通気性に優れていて、シワになりにくく、型くずれしにくいという特徴もあります。
お手入れの際は、エチケットブラシで軽くブラッシングしホコリや忖着物を取り除くことで、スエードの柔らかな風合いを保持することができます。
引用:http://www.links-room.info/new-arrival-class-carol/
上記にもありますが、このウルトラスエードは、天然皮革に比べ、放熱特性(=冷めやすく、冷え過ぎない)、吸熱特性(=暖まりやすく、熱くなりにくい)に優れるため、
夏に涼しく、冬に温かいという非常に快適な素材です。(ただ流石に気温が30℃を超える日に着るのはオススメできません)
また普通なら染まりにくい超極細繊維ですが、東レの技術によって様々な色彩に対応しているため、
絶妙なカーキから上のようなカラフルなプリントまで、色の幅も広く、発色も非常に美しいです。
アウターから、Tシャツ、そしてボトムスも、色々な型でこのウルトラスエードが用いられ提案されているので、もはやシリーズと言っても過言ではないかと思います。
今では少しずつこの素材を採用するブランドも増えてきたようですが、クラスはその草分け的存在です。
見た目からは信じがたい扱いやすさで、かなり味のある差別化を図れますので、オススメです。
ここではほんの一部、アイテムやルックを取り上げて紹介してきましたが、
他にも素晴らしい雰囲気のある良い服をたくさん作っています。
少し検索しにくいかと思いますが、通販でCLASSを取り扱っているお店がありますので、そちらを探してみると色んなアイテムが見れるかと思います。
是非興味を持たれた方は一度調べてみてください。
CLASS取扱店(通販)
http://www.kink-nagoya.com/shop.html