GOSHA RUBCHINSKIY |ロシア発の都会的ストリートブランド

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Gosha-Rubchinsky ゴーシャラブチンスキー

GOSHA RUBCHINSKIY (ゴーシャラブチンスキー)

映像作家でもあり、フォトグラファーでもあるデザイナーが、自身の名を冠してモスクワを拠点に2012年より始動したブランド、GOSHA RUBCHINSKIY (ゴーシャラブチンスキー)。

スケートやクラブシーン等のユースカルチャーにインスパイアされたアイテムをユニークな解釈で展開するのが特徴的です。

ファッションシーンにおいてロシアに初めてスポットライトを当てるきっかけとなったと言っても過言ではないブランドです。

ゴーシャラブチンスキー

そんなゴーシャですが、最初は元々ブランドにする予定などなかったそう。

2008年にファッションプロジェクト「we」を立ち上げ、パフォーマンスとして企画したモスクワでの最初のショーがきっかけとなり、ショーの後、当時のモスクワの独立系ファッションウィークのような存在だったサイクル・アンド・シーズンスに招待されます。

そうして新しいコレクションの目処が立ち、その後ロンドンから招待が来て3つ目のコレクションを制作。

同時期にComme des Garçons(コムデギャルソン)の川久保玲氏が、彼のセンスに目をつけます。

そうした経緯があって現在はギャルソンによる生産、サポートによってアイテムが展開されています。

ゴーシャとスケートボード

ゴーシャ メンズファッションブランド

ゴーシャは現在のファッションにおいて重要なのは、物語(ストーリー)だと言います。

ファッションというのはストーリーさ。イヴ・サン=ローランやカール・ラガーフェルド、ジャン・ポール・ゴルティエも、それぞれのストーリーを語った。彼らのようなデザイナーは、ひとりひとりが違う世界を表している。90年代後半には変化があって、ファッション界が若者文化や若い連中のストーリーに出会った。エディ・スリマンやラフ・シモンズのような人たちがそれを基に作品をつくった。シュプリームみたいなストリートファッションブランドがここまで大きくなったのは、彼らのおかげさ。そうこうしているうちに市場が変わった。皆、毎日新しいストーリーを聞きたくて探しているんだ。物には魂を吹き込まなきゃならない。ファッションそのものには何の意味もない。豪華さは見る人次第だし、そうみてもらえるように仕向けることは可能さ。ぴったりくるストーリーさえあれば、ビール瓶だってどうしても手に入れたがるような豪華アイテムになる。何だってそうさ。製品そのものは重要じゃない。SupremeのセーターがCHANELのドレスと同じくらい欲しくてたまらないものになることだってあるんだ。

引用:https://i-d.vice.com/jp/article/gosh-rubchinskiys-berlin-diary

ゴーシャ ルックブック

スキニーパンツが現れた当時、モスクワでそれを履く人をゲイと読んだ人々が、adidasが提案したスキニータイプのトレパンの発売以降、細いボトムを着始るようになったり、

初めはSupremeをダサいと非難していた人たちが、今では他の大勢と同じようにそれを着ていたり、

ファッションには物語があります。(マーケティングとも言えるかもしれません)

その物語とスケートボードから、自分のアイデアであったりスタイルを信じることを学んできました。

ゴーシャラブチンスキー

そうして往年のラフのように「自分の作りたいものを作る」というゴーシャですが、それと同時に「リアルなものを作りたい」という思いが強いと言います。

そこでストリートにおけるリアルの代名詞として現れ、彼のコレクションの軸にも存在するのが前述のスケートボードなのです。

ぼくはリアルなものが好きなんだ。新作コレクションに取り組むときには、変なものや不自然なものはつくりたくはない。スケーターファッションは着心地が良いことが大前提。スケーターには独自のスタイルがあって、自分だけのひと工夫があって、その人らしい着方があるのさ。だからこそスケートボーダーの格好を見ていると面白いし、ぼくにインスピレーションを与えてくれる。あいつらのファッションはお洒落なのに着ていて楽なんだよ。それって、デイリーな着こなしにはバッチリだろ。

引用:https://i-d.vice.com/jp/article/gosh-rubchinskiys-berlin-diary

ゴーシャのポジティブなダサさ

ゴーシャラブチンスキー ルックブック

こうして主にデザイナーのマインド的な部分にスポットライトを当てて紹介してきたゴーシャですが、ギャルソンからバックアップを受けるブランドだけあって、現在ヴェトモンと並んでストリート界の2大スタートとも言われています。

そんなゴーシャのデザインですが、個人的にも非常にピンときたのが、「ポジティブにダサい」という表現でした。

ゴーシャ コレクション

以下はGQで紹介されている2017ssコレクションのレポートの抜粋です。

80年代の日本のヤンキー、それもチバラギ的なセンス、と言えばいいだろうか。昭和の中学校の体育教師が着ていそうなセルジオ・タッキーニの赤のジャージ、カッパのランニングショーツ、フィラのテニスシューズ、80年代の中途半端な色みのデニム……普通の感覚で言えば野暮のオンパレードである。

引用:http://gqjapan.jp/fashion/collection/20160616/gosha-rubchinskiy-show-report

ゴーシャ

このレポートにもありますように、ゴーシャのデザインの特徴とも言えるのが、その絶妙な野暮ったさです。

インスピレーションとなったのが、ソ連という過去を持つロシアという国が持つ、共産主義的なカルチャーなのかどうかは分かりません。

とにかく彼はその鋭い感性と嗅覚で「90年代」というテーマにいち早く目をつけ、世界的なトレンドを牽引してきました。

ゴーシャ タンクトップ

正直この感覚は、合わない人にはとことん合わないかと思います。

上のルックなどは取り分け極端なモノをチョイスしましたが、シンプルにダサいことは否定できません。

ただ、この「狙ったダサさ」というのはとても難しく、多くのブランドが手をつけられない、上手く料理できない分野でもあります。

そんな極めて難易度の高い提案の先陣を、進んで切っていくことができるゴーシャのセンスはやはり相当稀有なのでしょう。

キリル文字のロゴ

gosha-rubchinskiy-2015-fall-winter-lookbook

「ダサい」という言葉ばかりで、ネガティブなイメージを持たれてしまったかもしれませんが、単なる過去のアイテムをそのまま提案するのではなく、どこかモダンな雰囲気を感じさせてくる辺りは流石です。

自分はそのモダンなセンスの一端を担っているのが、「キリル文字のロゴ」なのではないかと思っています。

世界共通言語と言われる英語からは敢えて外して、ロシアのルーツを大切にするという意図もあってか採用されたキリル文字は、独特の存在感を持っています。

「読むことができない」というのは、ある種原始的な意味でも興味の対象になると思いますが、そこにキリル文字のソリッドでモードな印象も相まって、感度の高いファッションフリークにどんどん採用されていくことになりました。

ゴーシャ キリル文字 ロゴ

Supremeがそうであったように、まだ取扱店は多くありませんが、これからは日本でもストリートでこのキリル文字を見ることが増えてくるでしょう。

ここ数年でまた一段と勢いを増し、数多くの有名ブランドとコラボでコレクションを展開する機会が増えてきました。

adidas soccer × Gosha Rubchinskiy

こちらは2018年にロシアで開催されるワールドカップに合わせ、アディダスとコラボレーション契約を結び生まれたコレクションです。

シーズン的には2017AWと2018SSに当たりますが、スポーツウェアの鉄板とモードなキリル文字のマッチアップが絶妙な雰囲気を纏い、自分も気付いた頃にはルックのゲームウェア(赤、黒)を2色買いしていました。

タウンユースには際どいアイテムの境界線を、どういう訳かこっち(ファション)の世界に寄せてくれるこのセンスは何なのか、上手く言語化できないのですが、個人的には非常に刺さりました。

この真ん中でチェック柄と分かれるマフラーなども、スポーツ感はかなり落ちますが、ありそうで中々見たことのない、まさにゴーシャという感じのデザインでした。

ゴーシャの面白いところは価格帯が概ねコラボ先のブランドに依存してくるところで、このadidasコラボなどはゲームウェアで¥15,000前後、マフラーも¥10,000強ぐらいで、珍しさというかファッション偏差的なものと価格が良い意味で比例しないことがあります。

ただ比較的求めやすい価格でもロット数はかなり絞っているので、しっかり存在するファンによって大体注目の型は即売になります。

Burberry × Gosha Rubchinskiy

こちらも界隈で非常に大きな話題を生んだ2018SSのBurberryとのコラボレーションコレクション。

ギャバジンのトレンチコートやカーコートなど、バーバリーのアイコニックなアイテムをゴーシャらしいストリートウェアの視点で再解釈し、オーバーサイズなフォルムで表現されたコレクションになっています。

バーバリーのハウスチェックが、アウターウェアやシャツ、ショーツ、ハットなど、さまざまなアイテムで登場し、英国紳士なイメージで今までストリートとは関わりの浅かったバーバリーがストリート界隈から改めて脚光を浴びるきっかけにもなりました。

先ほどのadidasとは異なり、こちらはメゾンとのコラボな訳ですが、とにかくファッションにおける記号の切り出しと再構築がこれほど巧妙なブランドも他にないのではないでしょうか。

ちなみに取り外し可能なイヤーフラップが付いたキャップやバケットハットは、英国人帽子デザイナーのスティーブン・ジョーンズの協力の元、製作されたそうで、記号を扱いながら、そういった部分で目の肥えたユーザーに言い訳をさせないしっかりしたモノづくりも流石の一言。

ただこちらのコレクションは残念ながらバーバリーの価格帯に沿いますので、今はどのアイテムもほぼほぼ完売でしょうが、コートで¥200,000前後など中々厳しい値段にはなっていました。

実はここで紹介してきた以外にもやReebok( リーボック)、Vans(ヴァンズ)、Kappa(カッパ)など様々なブランドとコラボがされてきております。

こうして紹介してきましたブランド、ゴーシャラブチンスキー。

類い稀なセンスで新しい発見をさせてくれるゴーシャのアイテムは、服を着るのをまた楽しくしてくれるのではないかと思います。

是非また探してみてください。

公式サイトはこちら

http://gosharubchinskiy.com

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