Girls Don’t Cry (ガールズドントクライ)|デザイナー VERDY
グラフィックデザイナーのVERDY(ヴェルディ)氏が手掛けるプロジェクト(ブランド)、Girls Don’t Cry (ガールズドントクライ)。
VERDY氏の名前の由来はサッカーチームの「ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)」。大阪に住んでいた時に、ヴェルディ川崎のユニフォームをよく着ていてついたあだ名だそうです。
ブランドの名前を訳したそのまま、(女の子への)「泣かないで」という意味になりますが、これはVERDY氏が、自身を支えてくれる妻に対する「いつも笑顔でいてほしい」というメッセージが込められており、元々は妻へのプレゼントとして製作された、非常にプライベートな存在でした。
そんなGDCがブランドになるきっかけとなったのが夫婦で訪れたLAでした。
当時LAでは、みんなの知らないTシャツを着ているのがクールと言うムードがあり、「それ何のTシャツ? どこで買ったの?」という会話からコミュニケーションが始まる街だったと言います。
そこで初めて2人でLAに行くタイミングで、妻にそういうTシャツをプレゼントしようと思ったVERDY氏が作ったのが「Girls Don’t Cry」のTシャツでした。
実は、そのときすでに〈Girls Don’t Cry〉というメッセージも考えていたんですよ。彼女は普段から明るい人だったんですが、その思い付いた日はなんだか元気がなくて。だから「泣かないで。いつものように明るくいて」というシンプルなメッセージが浮かんできたんです。そこからハートのなかに文字を入れたあのデザインに。なので、今回のアイテムのように文字だけになっているデザインもありますが、もともとはハートのなかに文字を入れた状態を完成形としているんです。
引用:https://girl.houyhnhnm.jp/culture/a_message_from_verdy
オリジナルのTシャツとなると、ある程度いっぱい作った方が安いので、自分たちの分以外にも作られていたようです。
そして2017年4月、実際にVERDY氏が奥さんと2人でロサンゼルスにいった際、実際『それどこのTシャツ?』と聞いてきた人や現地の友達にあげたことが“プロジェクト”の始まりだったのだそう。
反響は大きく、滞在中にセレクトショップ、ヴァージルノーマル(VIRGIL NORMAL)での取り扱いも決まったと言います。
たしかに圧倒的にキャッチーで素敵なデザインではありますが、良いものを良いと素直に言える、信じて取り扱いを決める、LAの懐の深さや、ことの始まりはボランティアに近い、色々なビジネスにも通じる部分を感じられる、素敵なエピソードかと思います。
その後も俳優で歌手のエディソン・チェン(Edison Chen)と共に「エモーショナリー・アンアベイラブル(EMOTIONALLY UNAVAILABLE)」を運営する、KBが投稿したインスタグラムから見出されるなど、これまでスターダムに登ってきたブランドたちがそうあったように、遅かれ早かれ多くの人に知られる存在になったのかもしれません。
VERDY氏の考える「格好良いグラフィック」
そんなVERDY氏は「格好良いグラフィック」とは、結局パッと見て格好良いか、そうでないかが一番大事だと言います。
そこに意味やメッセージ性など、作り手のストーリーが込められていると、よりそのグラフィックを好きになることができると。
GDCの場合は妻への「泣かないで。いつものように明るくいて」というシンプルなメッセージをハートの中に入れ込み、パッと見の格好良さに加えて、背景も整ったとても強度の高いデザインですが、着る側としては「泣かない」という自分の強い意思表示にも受け取ることができたようで、それぞれの解釈で多くの人に届いていったのでしょう。
ただ同時に、例え同じグラフィックでも、描いた人のストーリーやキャラクターによって全然違うものに見える、「誰がやるから格好良い」というのはあると。
視覚的なものだから誰でも真似しようと思えば真似が出来る今の時代、実はそういう「格好良い風に見えて格好良くないもの」が溢れている訳ですが、その良い悪いの判断は自分の目で見て、かなり直感的にされていると言います。
最近では「Nirvana (ニルヴァーナ) 」や「METALLICA(メタリカ)」を筆頭に、彼らの曲を聴かない人がそのバンドTを着ることの良し悪しについて度々見かけることもありますが、それらのグラフィックと言うのは、バンドのバックグラウンドを知らずとも魅力的に思えるシンプルな格好良さがあります。
その良さが一体どういったものと言葉に表すのはとても難しいですが、たしかにハードコア界隈のバランス感覚は非常に優れている気がします。
元々バンドと関われる仕事のあり方の一つとしてグラフィックデザイナーという職を見出し、そのルーツにパンクやハードコアバンドといった存在があるのも、彼のグラフィックが格好良い理由なのかもしれません。
あとはそれを良いと思った、気になった我々もまた格好良い存在になれるように頑張れば、GDCはまたより一層カッコいいものになるでしょう。
Girls Don’t Cryの購入方法
そんなGDCですが、とにかくその入手の難易度や希少性が話題に上がることが多く、購入するのはたしかに非常に大変なブランドでもあります。
というのもこのGDCというブランド(プロジェクト)が、シーズン毎のリリースをして、決まった取扱店に卸される一般的なアパレルとは全く異なり、国内外で不定期で実施されるポップアップショップだけが主な購入経路になるからです。
この売り方を「バンドのツアー」に例えて彼は話します。
「ツアーって皆が知る有名な一曲を各地で絶対にやるじゃないですか。むしろ名曲を待っているのにやらないと『あれ?』ってなりますよね(笑)」。例えるなら、それぞれのプロジェクトでのひとつのグラフィックが“代表曲”で「バンドがライブをしたら会場でグッズを売るような気持ちでやっている」。ネット上でなくリアルな空間で販売してきた理由もここにあるし、毎シーズンTシャツのデザインを変える“ブランド”とは一線を画すVERDYならではのアプローチなのだ。
引用:https://i-d.vice.com/jp/article/epgxqw/undercover-2020
バンドのライブにおける物販のように、志というか好みを同じくしたクルーたちが長い列を作り、一つのものを買う。あの凄まじい熱量が視覚化できるからこそ、また高い求心力を生んで新たなフォロワーが生まれていく。
ストリートで大ヒットしているコンテンツらしいスタイルでアイテムの販売が行われます。2019年の9月20日に公式オンラインストアがオープンしたため、そちらをチェックして通販で購入するのは一つではあるのですが、恒常的に買えるアイテムはほとんどありません。
元々GDCそのもののアイテムというよりは、HUMAN MADEやUNDERCOVERなどを筆頭に、その他のブランドとのコラボの中でアイテムが展開されることが多いプロジェクトなので、VERDY氏のインスタグラムを欠かさずチェックし、リリースのタイミングを見逃さないことが重要です。
最近のリリースは拾えるところで下記のような内容になっています。
・2018年02月17日 / LAの人気ショップとのコラボアイテムを展開
・2018年05月03日 / BEAMS Tでの1日限定ポップアップストア開催
・2018年06月02日 / UNDERCOVER(アンダーカバー)とのコラボレーションアイテムリリース
・2018年07月14日 / UNION TOKYOでポップアップストア開催
・2018年07月14日〜15日 / NUBIAN HARAJUKUで限定Tシャツがリリース
・2018年09月16日 / “Helinox”とのコラボレーショングッズリリース
・2018年9月30日 / CAREERINGとのコラボレーションアイテムリリーズ
・2019年2月9日 / NIKEとのコラボレーションNIKE SB DUNK LOW発売
・2019年2月14日 / HUMAN MADE(ヒューマンメイド)とのコラボアイテムリリース
・2019年4月20日〜21日 / Amazon Fashion “AT TOKYO” 開催
・2019年4月27日〜5月6日 / CHAMPION BRAND HOUSE SHIBUYA TOKYOコラボアイテムリリース
・2019年5月3日 / HUMAN MADE(ヒューマンメイド)とのコラボアイテムリリース
・2019年5月27日 / UNIQLO UT “RISE AGAIN BY VERDY UT”発売・2019年9月20日 / 公式オンラインストアオープン
・2019年10月12,13,14日 /HUMAN MADE,Levi’s,Cherry Los Angeles etc…@ VERDY HARAJUKU DAY
・2020年7月3日 /HUMAN MADE(ヒューマンメイド)とのコラボアイテムリリース
中々お目にかかることができずですが、やはり頻度的にもコラボアイテムの定番感的にも個人的にはHUMAN MADEをチェックしておくのが一番オススメかと思っています。
自分も狙いながらも結局中々上手く買うことができず、定価¥29,800(+tax)のPIZZA HOODIE(#1の方)をプレ値で¥50,000近く、Tシャツは¥10,000程度で買いました。
そのような感じで最悪の場合はオークションと言うのも一つの手ではありますが、かなりの値上がりは覚悟しなければいけないのと、
発売からかなり間が経っている一番定番のGDCロゴのTシャツなどは、本物と保証されているものをブランド古着屋などで買おうとすると¥40,000ぐらいしてくるので、やはりポップアップのタイミングを虎視淡々と狙い続けましょう。
Wasted Youth
また妻に向けたプロジェクトであるGDCとは別に、VERDY氏は、自分の“無駄に過ごしてきた青春”にフォーカスし、そこに振り返ることであの時間は無駄じゃなかったんだということをメッセージにした「Wasted Youth」というプロジェクトもされています。
こちらは彼のバックグラウンドそのものを表現しており、大阪時代に遠回りをして上手くいかなかった経験などを省みて、いまサポートしてる大阪のスケーターたちと一緒にセッションしながら物を作られていると言います。
こちらは「Don’t bother me anymore(俺は好きなことをやってるから、俺に構わないでくれ)」というメッセージなども使いつつ、またGDCとは違ったテイストですが、よりストリートチックと言うか、男性的な良さのあるラインですので、あわせてオススメです。
こうして紹介してきましたGirls Don’t Cry (ガールズドントクライ)。是非またチェックしてみてください。
VERDY氏の公式インスタグラム:https://www.instagram.com/verdy/?hl=ja
参照:
VERDYによる1デイ・ポップアップ “Girls Don’t Cry POP UP STORE”前夜祭の模様をプレビュー
https://www.fashionsnap.com/article/verdy-21question/
https://hypebeast.com/jp/2018/11/wasted-youth-afterbase-lookbook