BED J.W. FORD (ベッドフォード) /デザイナー 山岸慎平、高坂圭輔
山岸慎平氏と高坂圭輔氏の2人が2010年にスタートしたブランド、BED J.W. FORD (ベッドフォード)。
コレクションのスタートも2011年の春夏からで、まだまだ立ち上がって間もありませんが、
その秀でたセンスは服好きの心を貫き、既にストリートで無視できない存在となっています。
全体的に無駄のないミニマムなデザインですが、ディテールや素材の表情にかなりエッジが効いており、息を呑むカッコ良さがあります。
ブランド名の由来は、「Bed Jude Will Ford」という架空の人物だそうで、ブランドの信念は以下です。
Out of the night that covers me,
Black as the Pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My heart is overcome , but unbowed.It matters not how strait the gate,
Will never give it up.
Accept my fate without bitterness.
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.引用:http://www.bedjudewillford.com/about.html
恥ずかしながら上手く読解ができませんが、「厳しい状況で虐げられても、決して消えることのなかった強い意志で自らの運命に向かう」ような類いの内容になっています。
そんなベッドフォードのテーマとなるキーワードは「ナルシスト(Narcissit)」と「ロマンチスト(Romanticist)」。
デザインするにあたって「生活の中にある美しさ、儚さを感じられる空間やモノ、また音や映像を自分達の解釈で洋服へ落とし込み、伝えたい」という意気込みを「エゴ」と定義し、
それを先述した二つのワードで言い表しています。
シーズン問わず、とにかく差別化を図るために生まれてきたようなファッション性の高いルックが顔を連ねます。
YAECAのようにリアルクローズ(日常着)を売りにしているブランドもありますが、ここは自ら「着飾るための服を作っている」と明言しております。
着飾る服
「着飾る服」と自らアナウンスする潔いブランド、ベッドフォード。
他のブランドも口には出さないまでも、「デザイン性の高いものを作ろう」という思いは強いはずです。
この宣言はプレッシャーにもなるのかと思いますが、一切不安を感じさせないほど新鮮な提案ばかりです。
定番ではありませんがこれまで登場してきた特徴的なアイテムをいくつか見ていきます。
J Coat
こちらは2015ssの目玉アイテムとなったジャージ素材を使用したガウンコートです。
ガウンのような抜け感とチェスターコートのような強さが混在したコートとなっており、
身頃はペイズリー、袖はレジメンタル柄の裏地を使用し、アクセントとしています。
Sailor JKT
2016ssの目玉アイテムとして登場したSailor JKT。
「完璧に計算された構図を描くスタンドカラージャケット」の異名を取る一着です。
生地はリネンとモダールを混紡したオリジナルファブリック。
また身頃裾の内側の仕様が一部ダブルになる変形デザインで、ボタンを上部のみ閉めた際に綺麗なAラインシルエットが形作られます。
袖裏に配されたシルクテープは、動きの際に見えるアクセントとなります。
前身頃裾は左側だけが断ち切りになり、さらに内側のベルトが覗くことで完全に計算されたアシンメトリーのデザインになっています。
一見ミニマルな外観ながら、非常に高いレベルで表現された渾身のアイテムです。
参照:http://shelter-web.jp/SHOP/bedford_ss16_jkt.html
「W」 ver1,ver2
2015awのアウターとして登場した上質な羊革/馬革スウェードを用いたダブルライダースジャケット、「W」です。(羊革がVer1、馬革スウェードがVer2)
ライダースジャケットらしい無骨さと、スタイリッシュなシルエットが魅力的です。
フロントは”TALON”社製で利便性に長け着こなしやアレンジの幅も広がるダブルジップ仕様になっていて、
またファスナーの持ち手として長めにあしらわれた革紐がアクセントになっています。
シルエットはタイトで身体のラインに沿うすっきりとしたサイジングで、タイトなパンツからワイドパンツまで幅広く着合わせして頂けます。
裏地にはキュプラを使用しており袖通しもスムースで着心地の良さも魅力、また身頃部分はペイズリー柄を袖部分はストライプ柄をそれぞれ使用する等、細部のディテールにも拘りが見られます。
参照:http://blog.kikunobu.jp/?eid=1087381
こうして幾つかアイテムを紹介してきましたが、
デザインの姿勢からして、常に何か真新しさを探し続ける臨戦態勢のブランドであることがお分かりいただけたかと思います。
ファッションアディクトの欲に真正面から向かってきてくれます。
ベッドフォードの定番
MA-1
そんなベッドフォードでまず第一にオススメするのがこちらのMA-1です。
一般的なMA-1のイメージを忘れてしまう程ミニマルに装飾が削ぎ落とされたこのアイテムからはブランドの良さが溢れ出します。
普通はアームホールにポケットがあったり、ボディーに中綿が入っていたり、裾がリブで仕上げられていたりするのですが、そういったMA-1を代表する装飾を全て削り、ノーカラーにしてしまったのがこちらのアイテム。
無駄(かどうかは分かりませんが)を最大限削ぎ落としアイテムをギリギリ成立させるレベルまで磨き上げた、ミニマムで美しいアイテムです。
中綿を抜いたことで、薄手のライトアウターとして活躍しますし、アウターの内側にインナーとして着ることも想定してデザインされています。
短い着丈と長い袖丈のバランスも少し不良めいた表情があって、シンプルに白Tのような手軽なインナーと合わせても様になります。
まず買うならこの一着かと思います。
Back henley
こちらはベッドフォードの中の定番アイテムが展開されるライン、「closet」のNO.1に当たる存在、Back henley (バックヘンリー)です。
名前の通り、ヘンリーネックのディテールが背面にあしらわれた一着です。
背面にボタンが来るデザインは、レディースでは割と多めのディテールかもしれませんが、意外とメンズでは少なく、これもブランドの有名なアイテムとなっています。
個人的には流石にMA-1ほどの分かりやすさと訴求力はないと思いますが、単体でもレイヤードでも活躍してくれる汎用性があるようです。
Silver Ring
これはブランドを象徴するアイコンでもある鏡をモチーフにしたシルバーリングです。
輝きの強い925SILVERを採用するなど、素材もこだわり抜いており、繊細に描かれた模様がアンティークジュエリーのようなアイテムです。
かなり華奢ですが上品な雰囲気があり、ブランドの根本としてのテーマである「着飾る」ことを象徴する小物になっています。
こうして紹介してきたブランド、ベッドフォード。
ミニマムでシャープなデザインとアヴァンギャルドなアイテムを生み出す姿勢は、潔く服好きの気持ちに応えてくれます。
是非探してみてください。
公式サイトはこちら
http://www.bedjudewillford.com/