BALENCIAGA (バレンシアガ)
スペイン生まれのクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balanciaga)を創業者とし、1918年、彼が自身の名を冠して生まれたブランド、BALENCIAGA (バレンシアガ)。
元々デザイナーの出生地ということもあって、スペインのマドリードやバルセロナで高い評価を受け、王室も使うほどの名声を得ていましたが、
スペインの内乱を機にパリに移動、それ以降はフランスのラグジュアリーブランドとして活躍しています。
創業者は1968年に死去しており、1997年からニコラ・ゲスキエールがクリエイティブディレクターに就任。2013年以降のデザイナーをアレキサンダー・ワンが勤め、2016年AWからデムナ・ヴァザリアが勤めています。
海外ブランドは配役されるデザイナーによって、その表情を様々に変えますが、時にデザイナーの才気と積み上げてきたメゾンブランドとしてのポテンシャルが調和してビッグバンが起こることがあります。
20世紀ではそれがエディスリマンとDiorだったのかもしれませんが、21世紀初のビッグバンは間違いなく、デムナ・ヴァザリア(VETEMENTS)とこのBALENCIAGAでしょう。
ドメスティックブランドであれば、シーズン毎の紆余曲折はあれど大きな芯であったり、デザインの軸はある程度整っていますが、インポートのメゾンはデザイナーが変わる分、本サイトでも掲載の内容から多少逸脱するのは妥協していました。
とは言え、このBALENCIAGAだけはこの数年で完全なる別物となってしまい、もはやストリートシーンのトップに君臨するハイブランドになってしまったので、過去記事を一掃し、改めて書き直すことになりました。
BALENCIAGAの傑作ダッドスニーカー「Triple S」
Triple S
2016年3月、会場はオートクチュール特有の金メッキの椅子やベルベットのクッションといったイメージとは程遠く、テレビスタジオとして使用されている殺風景なスペース。
そこに現れるのは、名状しがたい芯を食ったオーバーサイズで、独特なストリートの匂いを感じさせるコレクションでした。
そうして「2016AWのパリコレはデムナに始まりデムナに終わったと言っても過言でない。」とされる鮮烈なデビューを飾り、台風の目となったBALENCIAGAだったのですが、
そのBALENCIAGAをストリートシーンで圧倒的な地位を確立するきっかけとなり、「ダッドスニーカー」というジャンルさえ生み出したのが、このスニーカー「Triple S (トリプルエス)」です。
Triple Sという名前は、三つのソール(S)「トリプルソール」を意味し、ランニングシューズ、バスケットボールシューズ、トラックシューズという3つのソールを組み合わせたデザインに由来しています。
登場したのは2017年9月21日。元々は¥78,000(+tax)という価格設定で、メゾンブランドとは言え、スニーカーにしては高額な部類でしたが即完売。
すぐにプレ値がつき、RINKANなど古着屋でも高額で取り扱われ、翌月のリストックの際は抽選制になりつつ、価格が93,000円(+tax)へと改定された伝説のアイテムです。
リリースからある程度経った現在では、もう供給も足りており、手に入れられるアイテムにはなっておりますが、厳密にはイタリア製から中国製になったり、レザーの質感も変わっていたり、マイナーチェンジは行われており、以前レアなアイテムであることには相違ないかと思います。
発売当初からダサいなどいう意見もありはしますが、価格的にもレアリティ的にも中々手が出ない方々、もしくはこのような圧倒的なイットアイテムを生み出された同業他社からの悔しさの裏返しかと思います。
基本的にスタイリングにおいて、足元のボリュームが出せるとバランスが綺麗だというのはよく聞く話で、スタイリストさんの中には足のサイズが小さいので、サイズの大きい靴を履くために中敷を重ねるという方もいらっしゃる程です。
そのため定義は様々ですが、足元にぽってりとした可愛らしいボリュームの出せるダッドスニーカー並びにTriple Sは、バランス的にも優れたアイテムになり、また3つの異なるソールを重ねたという再構築的な発想が、デザインの強度を上げてくれているので、とてもかっこいいアイテムかと思います。
中にあるべきサイズの数字をトゥの部分に表記することで外的デザインに変えたり、重ねたソールにもしっかり歴史が感じられるようにヴィンテージ加工を施していたり、細かいところのデザインも素晴らしく、なるべくして大ヒットとなったイットアイテムです。
SPEED
こちらはTriple Sに続き、スポーツミックスの潮流の中で現れたソックスのようなスニーカー、SPEED TRAINER(スピードトレーナー)。
ナイロンとエラステンの素材からなるアッパーは、非常に柔軟かつ軽量でシューズ全体で240gほど。
スポーツブランドからもニットシューズは数多くリリースされますが、シンプルなデザインに映える「BALENCIAGA」というロゴが、説得力を与えます。
こちらもリリース時はショート丈のもので¥61,000(+tax)という価格感でしたが、今は¥81,000(+tax)あたりまで価格が上昇しています。それだけブランド力が上がってしまっているのでしょう。
TRIPLE Sは本当に素晴らしい力のあるスニーカーですが、実は1kg近い重量があり、1日履いて歩き回るには少々厳しい代物だったりするので、履きやすさではこちらなのかもしれません。
TRACK
SPEEDに続き登場したのがこちらのTRACK TRAINER(トラックトレーナー)。
こちらはレザーを一切使用しないメッシュとナイロン素材からなり、ハイキングシューズとランニングシューズを組み合わせ、一つの靴の中にレイヤードを意識した複雑なデザインの一足です。
「TRACK TRAINER」は合計96ものハイテクパーツによって成形され、こちらをベースに履き古したようなヴィンテージ加工を加え、より複雑なデザインとした「TRACK 2」のアッパーは176個のピースで構成されるようです。
デザインやボリュームというのは今の空気感にぴったりで、なおかつ履きやすさ的なところでは上記二つをバランス良くまとめあげた感じなのかなと思っております。
脱構築的なイメージはありながらも、名前通りスポーツテイストが強いアイテムなので、意外とフォーマルなボトムスなども一足で外していける力強さがあります。
価格は¥100,000(+tax)。
TYREX
こちらは継続リリースはされていませんが、上記の3つに続き2020SSにリリースされたシューズ、TYREX(タイレックス)。
ビジネスシーンでも使えるようにウェルト製法のドレスシューズを参照し、クラシックなバレンシアガのオフィスシューズと人間解剖学の要素を取り入れてスポーティーなデザインに仕上げた一足です。
皮膚下の筋肉の網目を連想させる左右非対称のアッパーが特徴的で、トゥ部分には「TYREX」、ヒール部分には「BALENCIAGA」のロゴが施されています。
価格は¥100,000(+tax)。
バレンシアガを代表する定番小物
キャップ(ベースボールキャップ)
主に靴の紹介をしてきましたが、デムナは本当に記号使いの天才です。
コレクションやTriple Sのようなイットアイテムで、「BALENCIAGA」というブランドが今ストリートでクールな存在であることを周知の事実とした後は、そのロゴを使ってシンプルなアイテムを展開します。
一番有名どころと言えばおそらくこのベースボールキャップ。
非常にミニマムでシャープなベースボールキャップに、ブランドロゴを載せて、価格は¥44,000(+tax)。
たしかに高いと言えば高いのですが、今のストリートシーンではおそらく一番バランスの良いキャップと言っても過言でないかと思います。
Supremeを筆頭とするスケートボードブランドのキャップのように、支配力が高いアイテムはスタイリングにかなりストリートの色を足してしまうと思いますが、このキャップが与えるバランスは極めて絶妙。
他の合わせ具合によってどうとでも転べるのが魅力かと思います。
ペーパーミニウォレット
キャップと並び、数多くの芸能人の方にも愛用される話題の財布がこちら、ペーパーミニウォレットです。
アイテム名のペーパーは紙(袋)ですが、便箋を彷彿させるデザインと非常に小さいサイズ感が特徴的なアイテムです。
大きさ: 高さ 7.0 cm 幅 10.0 cm まち幅 3.0 cm
素材: 牛革(カーフ) 100%
数多くのブランドから展開されているミニ財布ですが、こちらはおそらくその中でもトップクラスのミニマムさです。
ただそんな小ささながら、カードが6枚、小銭入れもあるという意外な収納力で実用性の高さも評価されています。
そもそもバッグのサイズが小さいという女性モデルの方々からすると、そこでも問題なく収まってくれるこちらはかなり優秀で、カラーバリエーションも多彩なので、もう3代目などという方も多いぐらい愛用されているようです。
男性でもバックポケットに入れてもシルエットをあまり壊さないぐらいのサイズ感になりますので、手ぶらで出かけたいという方にはかなりオススメのアイテムになります。
定価は¥41,000(+tax)。
こうして紹介してきましたブランド、BALENCIAGA。
主にスニーカーや小物をメインに紹介してきましたが、余裕があればコレクションのアパレルも非常にカッコイイです。
とにかく、ここ数年におけるストリートシーンでの影響力は他社の追随を許さないほど圧倒的ですので、是非また調べてみてください。
詳しいコレクションはこちら
http://www.fashion-press.net/collections/brand/35
参照:
https://www.balenciaga.com/jp
https://www.fashion-headline.com/article/17792
https://www.vogue.co.jp/fashion/interview/2016-09/08/balenciaga/16aw-tr
https://fashionista01.com/vetements