visvim |最高の靴と拘り抜いた日本のストリートカジュアル

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visvim ルック

visvim (ビズビム) /デザイナー 中村ヒロキ

2001年、クリエイティブディレクターの中村ヒロキがスタートしたシューズブランド、visvim (ビズビム)。

元々はシューズブランドとして始まりましたが、今ではウェアをはじめとしてフレグランスなども展開するトータルブランドです。

visvim 2010aw lookbook

一世を風靡した裏原系ブランドの代表格ですが、テイストはアメカジの部類に入ります。

裏原系は一時バブル的な潮流がありましたが、バブルの崩壊と共に姿を消したブランドも多い中で、色褪せず生き残り続けている数少ないブランドの一つです。

ロゴなど分かりやすい模倣可能なキャッチーさが個性であった時代に、シンプルながらも細かいデザインや機能性で他のブランドと差別化を図ってきたのがその理由でしょうか。

止水ジップシャツ

例えばこのシャツ。ベースは非常にオーソドックスなボタンダウンシャツですが、目を引くこのポケット。

ちょうど良い具合の遊び心が効いています。

これはvisvimの定番シャツで、止水ジップを使った異素材の防水ポケットがアクセントになった人気の商品です。

ビズビム ルック

展開されるアイテム自体はベーシックな型をベースに、上質な素材でオーソドックスに整えつつ、そこにこういったディテールやシルエットなどでちょっとした変化がつけられています。

そしてアメカジと言えば「デニム」だと思うのですが、このvisvimというブランド、相当デニムに強みがあります。

SOCIAL SCULPTURE DENIM

ビズビム 2016aw ルック

ユーティリティウェアをこよなく愛する中村ヒロキ氏にとって、世界各地でワークウェアとして芽吹いたデニムは素通りできないアイテムであり、visivimでもブランドを代表するアイテムとして扱われます。

生産背景などは宜しければ以下を読んでいただければと思いますが、非常に長いのでざっくりと読み飛ばしていただければと思います。

彼が「本物のジーンズ」と初めて出会ったのは、14,15歳の頃。友人と行った原宿のビンテージショップで発見したLevi’s®XXでした。それは日本でビンテージデニムが流行る少し前、当時市場に溢れていた大量生産のジーンズに比べ、丈夫で強く、色濃いキャラクターと温もりのあるジーンズ。

実は中村氏が初めて自分で買った洋服で、当時の彼にとっては高価でしたが、その一本は他のものと何かが大きく違っていました。「色、テクスチャー‥」何が違うのだろう?と不思議に思っていた彼は、80年代、日本でビンテージデニムが流行っていた時も、その違いについて考え続けていました。ジーンズに惹きつけられる、その根本には何があるのか?

その答えを知るべく、いろいろなアプローチで調べ始め、ビンテージデニムの生産背景に辿り着きます。

綿100%の綾織り生地は、心地よく、丈夫で様々な衣服に適しており、染色された縦糸、白い横糸という他の綾織り生地とは異なるユニークな構造が、丈夫さだけでなく、コントラストの強い色落ちと、縦方向の不揃いな表情をもたらすことを知ります。元々ワークウェアに用いられたデニムは、決して高価なモノではなく、また今のデニムと異なり、均一な糸ではなく、ザラザラした不均一な糸で作られていました。

勿論これは意図的ではなく、当時はそうした不均一な糸しか手に入らず、そもそもきれいに揃った均一な糸は、ワークウェアには必要とされていませんでした。しかし不均一な糸を使うことは、1点1点少しずつ違うユニークなデニムが作られるという思わぬ効果をもたらし、現代の均一な糸で作られたデニムでは再現できない所でもあります。

また最も分かりやすいデニムの表面的な特徴と言えば、深いインディゴのカラーです。ジーンズはアメリカで生まれたものですが、インディゴ染めはそうではありません。日本や東南アジアにも長い歴史や伝統があり、ジーンズが作られるようになる前から用いられていた染色方法でした。

ドイツで合成インディゴが発明される前、世界中のインディゴ染めはすべて天然染色で、それぞれの国で原産の植物を使い衣服を染めていました。そして日本や東南アジアのヴィンテージサンプルから、天然藍染の特性にインスパイアされて、現代の技術と染色を活かし同じような温もりのあるモノを作れないだろうかと模索していました。

そして彼は糸から開発しなければ理想のモノにはならないと気づき、時間の経過とともに見た目、手触りの不均一さが現れるように、あえて長さの異なる繊維を混ぜて一から糸を作りました。

また糸を染める時には、ロープ状に撚て染料に何度も浸すという染色方法を用いることで、外側は濃紺で芯は白いという糸を生み出します。本当は大きな容器に大量の糸を入れ、染まったら出すという方がずっと簡単ですが、糸が染まり過ぎて良い色落ちにはならないため、大変手間がかかり、大量生産には向きませんが、この染色方法を取ることにしています。

そしてそうして生まれた糸は、旧式の力織機で織られています。この織り機は大量生産に適した高速織機に比べ、ゆっくりと強く糸を打ち込みながら生地を織っていきます。ビンテージデニムがこうした機械で織られていたという事実は別にして、旧式の力織機で織られるデニムは、高密で強く風合いのよい生地です。織っていく過程が不安定なので、デニムの表面に凹凸感が生まれます。

時間もコストもかかりますが、全て強く美しいデニムを作るためには必要不可欠なもの。一つ一つの工程で細かな指示をし、デニム生地が作られてできたのが、このSocial Sculpture Denimです。

旧式の力織機で織られたデニムのもっともわかりやすい特徴は「耳」ですが、それもカスタムでデザインされています。

デニムの魅力とは、他の生地に比べて、生地の重さや張力などの計測できるようなことだけでなく、感覚的なことが重要で、惹きつけられる理由はそのモノに意味があるからかもしれません。機能的な衣服、ワークウェアやミリタリーに惹かれるのは、それはきっと見た目ではなく、何かのために作られたモノだから。

そう考えて生まれたこのデニムは、カラー、糸、リベット、ボタン、2色のステッチ糸、本藍染の鹿革パッチ。すべてにはっきりとした目的があり、”意味”を形にしたものになっています。

参照:https://www.visvim.tv/jp/dissertations/product_introspection_social_sculpture_denim.html

 

DSCF0293

ステッチでブランドを特定できるようなディテールはありませんが、インディゴ特有の色みやタテ落ちの魅力を反映すべく、藍染めの施されたレザーパッチがアイコンです。

型番は01から05までの数字にD〇と続き、前半の01〜05までの数字がシルエット、D〇が加工の種類を表します。

例えば01はLevi’sの501、02はLevi’sの502、と言うように、参考にしたLevi’sのデニムの型と対応しています。

またその型番に続けてD1などのような表記がされているのですが、これはダメージ加工の種類を示しています。

(画像の品だと01D5という表記がされていますので、501のシルエットにD5の加工が入っているという形になります。)

もう加工の種類だけでも14ほどあるらしく、シルエットが5種類あることを考えると、相当なバリエーションがあると分かります。

ビズビム ダウンジャケット

良いものだけあってノンウォッシュのもので¥30,000 、加工の種類によって¥50,000〜¥100,000など、値段は中々してきますが、それだけの価値はあります。

ブランドの熱烈なファンであるエリック・クラプトンも、「様々なヴィンテージデニムを集めてきたけどこれが一番」と言うようなお墨付きのイットアイテムです。

シルエットや加工技術に定評がデニムブランドは数多くありますが、バックポケットのステッチで分かるようなデニムではなく、感性に訴えかけてくる、表情のあるデニムです。通じる人には必ず通じる良さがあります。

生産背景も考えるとマストバイな1本なので、是非調べてみてください。

HIGH-WATER CHINO

デニムと並び、中村ヒロキ氏も普段から愛用している大定番ボトムスがこちらのHIGH-WATER CHINOです。

チノでありながら野暮ったくならない細身のキレイなシルエットで、9分丈でダブル仕様の裾が特徴的な一本です。

またかなり現代的なシルエットでありながら、シンチバックが付いていたり、ヴィンテージの要素を感じさせるディテールが共存しているのも魅力的です。

元々シンチバックというのは、ウエストを調節する機能を目的に考案され、ジーンズに配されたディテールで、フィット技術が未熟だった時代は、ジーンズだけでなくスラックスなどボトムス全般に付けられていたのですが、1940年代中頃から徐々に廃止されていきました。

そんなヴィンテージライクなディテールとモダンなシルエットが非常にカッコいいです。

ボタンも頑丈なアルミ素材を用いており、経年変化も楽しめるようになっています。

参照:https://colonlife.jp/visvim-pants/

素材も秀逸で、「アメリカのスーピマ」「中国の新疆」と共に世界三大綿に挙げられる「エジプトのギザ(GIZA)」の超長綿を使用し高密度に織り上げられています。

綿は繊維が長ければ長いほど高級とされているのですが、それは繊維が長いことで、糸をより細くしっかり作ることができ、軽くてしなやかな風合いながら耐久性も高い生地を作ることができるからだと言います。

またGIZAの超長綿には植物性の油脂が適度に含まれているため、光沢のあるとろみ感も出すことができ、さらに発色性も高いという理想的な素材になっています。

それを表地だけでなく、裏地にも使うと言うのだから肌触りも良く、保温性も高い、ブランドの良さが分かる逸品です。

価格は¥33,000程。

EIGER SANCTION PANTS

こちらはルックなどには中々登場せず、上二つと比べると認知度も低いかもしれませんが、紛れもないvisvimの定番カーゴパンツ、EIGER SANCTION PANTSです。

サイドポケットやフラップポケットといったカーゴパンツに定番のディテールは勿論、膝部分のプリーツ、股部分の当て縫い、ウエストのアジャスターなど、本物志向のvisvimならではの徹底したディテールが非常にカッコ良い一本です。

SSはGIZAとナイロン、AWはGIZA、高品質な素材を高密度に織り上げて作られており、武骨なカーゴパンツというアイテムながら、非常に上質な生地感で仕上がっています。

個人的にストリートブランドのパーカーやスウェットがとても好きなのですが、それにデニムやチノパンを合わすと逆に相性が良すぎる。一番狙いたいハズしのバランスではないかも、とひたすらカーゴパンツを探していた時期があったのですが、そこで現れた解答がこちらでした。

少し太めのシルエット、長めの丈と生地感、徹底したディテール、しっかりとミリタリーを感じさせつつ、カジュアルなスタイリングに馴染んでくれます。

SSで¥70,000ほど、AWで¥80,000近くするかなり高額なパンツではありますが、スタイリングの軸になってくれる間違いないアイテムなので、本当にオススメです。

世界的に評価されるvisvimの靴たち

そしてこれまでのルックでも何度か顔を覗かせてきましたが、このブランドが世界に知れ渡るきっかけとなったのは、何と言ってもこのお洒落な靴たちになります。

洒落たデザインなのですが、ユーティリティを至上命題とするvisvimにとって最重要事項は“見た目”ではありません。

「デザインしたかったのは履き心地です。見た目よりも、その良し悪しは誰でも判断できますから」という中村氏が靴作りで譲らないのは通気性。

化学的な処理で蒸れやすくなっている現代の靴に対して、昔ながらの製法で作られた革を使うことで、毛穴を活かす構造を取ったvisvimの靴は、本当に履きやすいです。

スニーカーからブーツに至るまで幅広く展開されますので、いくつかその中の名作達を紹介していきます。

参照:https://oceans.tokyo.jp/fashion/2018-1203-4/

VIRGIL BOOTS

まずは最もオーソドックスかつミニマムで飽きの来ない定番のワークブーツ、VIRGILです。

見た目から受ける印象以上に軽量で履き心地が良く、一枚皮からできていることもあって通気性に優れたブーツです。

クッション性の向上にも一役買っているブランドのアイコンとも言えるヒールカウンターなどの特徴的なディテールこそありますが、総じてシンプルなデザインで、何にでもさらりとハマります。

素材はスエード、カウレザー、ホースレザー、カンガルーレザーなどシーズン毎に様々に展開されます。

シューレースを通すホールは下4つで、上3つの金具に引っ掛けて結び上げても、下で巻いても成立するのもカッコいいポイントです。

価格は¥90,000近くしてきますが、グッドイヤーウェルト製法のためソール交換も可能で、一生履いていける一足になります。

木村拓哉氏がドラマ「月の恋人」で着用して話題を集めた一足でもあります。

SERRA

serra

こちらはマウンテンブーツ(トレッキングブーツ)のSERRAです。

透湿性・防水性・安定性といったトレッキングブーツに求められる機能性はさながらに、この丸みを帯びた可愛らしいボリューム感が魅力的な一足です。

タウンユースには勿論、実際に軽く山に繰り出しても問題のない出来になっています。

VIRGILも素敵ですが、HIGH WATER CHINOのように細身で裾を絞ったパンツとの相性は抜群です。

世界的ギタリストのジョン・メイヤーも着用されています。

TWOMBLY

こちらはおそらくvisivimを愛する有名人の中で最も世界的に知られているであろうエリッククラプトンが、2000年にvisvimのものづくりと出会った時の記念すべきアイテム、TWOMBLY。

彼が来日した際に、友好のあった藤原ヒロシ氏が展示会に連れて行ったのが始まりだったのだとか。

型的にはスリップオンシューズタイプのアメリカンモカシンになり、クラシカルなアッパーと、モダンなビブラムソール、スタビライザーを使用した機能性が特徴的な一足です。

ワックスコーティングのレザーや、ハンドステッチの風合いも抜群で、ブーツはかっこいいけど着脱の時間が苦手という方にはこちらが解答になるかもしれません。

KIEFER

ビズビム キーファー スニーカー

こちらはエリッククラプトンも愛用することでお馴染みのハイカットスニーカー、キーファーです。

コンバースのオールスターをベースにしながら、履き心地を上げるため幅を調整されています。

またブーツ作りと同じように、接着剤をなるべく使わないという姿勢で作られたスニーカーであり、裏地に通気性の良いカウレザーを配することで、蒸れを抑えた履き心地の良い一足です。

一見何の変哲もないシンプルなルックですが、表面化しない素晴らしさがあります。

FBT

fbt スニーカー モカシン

こちらはおそらくvisvimの名前を飛躍的に轟かせるきっかけとなった一足、FBTです。

モカシンのようなヴィジュアルにビブラムのスニーカーソール、極めてテクニカルな出で立ちでいて、この見た目からは想像のつかない履き心地の良さ。

自分が初めて買ったvisvimの商品で、以来visvimにのめり込むきっかけとなった一足でもありますが、履き心地の良さと意外性のあるテクニカルなデザイン、かなりの褒められ靴です。

kanye-west fbt

世界的なファッションアイコン、カニエウエストも履いています。

他にも極めてたくさんの靴がありますが、どれも履き心地などの快適さは保証されていて、大量生産される既製品とは何か明らかに空気感の異なる独特なセンスがあふれるものばかりです。

強いて言えば一部のブーツに関しまして、インソールも皮である場合があり、中で滑ることはありますが、その時はインソールだけ買い足してあげるなどの対策で簡単に改善できます。

是非一度調べてみてはいかがでしょうか?

色々紹介してきましたが、靴以外にバッグも有名です。

visvimのバッグ

BALLISTIC 20L

ballistic22L

こちらがおそらく最も有名なバリスティックシリーズです。

引裂強度が通常のナイロンの5倍からあり、防弾チョッキなどにも使われるバリスティックナイロンをメインファブリックとして作られたミニマムなリュックです。

ballisttic ルック

底は贅沢なスエードやレザーで仕上げられています。

ノートPCなどを収納できるスリーブも装備されており、現代のライフスタイルにもぴったりハマりますし、長く使えるためオススメです。

20Lや22Lなど容量に幅があり、ブタ鼻や止水ジップのディテールがあるモデルとないモデルがあったりしますので、よく調べてお気に入りのを見つけてあげてください。

Ballistic E-Cat 18L

ballistic-ecat

そのバリスティックシリーズの内、メッセンジャーバッグの型なのがこちらのBallistic E-Catです。

素材はそのままに、一般的な多くのメッセンジャーと異なるアシンメトリーのデザインが魅力的です。

ベルトの片側を太くし、身体にフィットするような存在感がカッコイイです。

Homer Tote

homer tote

こちらのホーマーは極めてシンプルなトートバッグです。

レザーやキャンパスなど、色々な素材で展開され、無地のものから柄物まで幅広いですが、実はエルメスのバーキンを手掛ける職人の手作業で作られた非常に人気の高いアイテムです。

トートバッグにしては少々上等ですが、数も少なく、すぐに売れてしまうので、狙うならしっかり入荷情報を追う必要があります。

他にも色々な種類がありますが、特にこの辺りは押さえておいてもらいたいです。

ホーマートート

このような感じで、デニム、靴、カバンなど魅力あるアイテムが目白押しのブランドです。

もちろんアパレルも一捻り利いたイケているアメカジテイストで、中々に類を見ないオリジナリティ溢れる物になっています。

セレクトショップでの取り扱いもありますが、F.I.Lと言う直営店がありますので、良ければそちらに足を運んでもらうと良いかと思います。

ビズビム ルック

是非一度実物を見に行ってください。

公式サイトはこちら

http://www.visvim.tv/jp/

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